相続財産
前提:相続人は4人で母、長女(私)、次女、長男です。長男が亡父、母と同居。
父は先月亡くなりました。
質問:昨年、父が具合が悪くなった際に、貯蓄型の生命保険(加入時一括払い)の契約者名義を父から長男に、長男の勧めに従い、兄弟の同意なく変更している事が父の死後、父の手帳の写しにより判明しました。
この名義変更は法的に有効なのでしょうか。
逆に相続財産に生命保険の保険金を含めるためにはどういう方法が考えられるでしょうか。
ご教示願います。
【生命保険の名義変更は有効です】
被相続人が生前自分の財産を処分することは自由です。
従って、父が契約された生命保険の名義を長男にすることは、父だけでできることであり、他の兄弟の同意は必要ありません。
なお、その名義変更の手続きが父の意思に基づく限り、その名義変更は有効であり、保険契約の契約者は長男になり、その時点で父の財産ではなくなります。
【特別受益になる可能性があります】
死亡保険金はもともと遺産ではなく、相続とは別に受取人が取得する財産になりますので、遺産分割の対象にはなりません。
しかし、父が生前に保険契約者の地位を長男名義にした場合、その契約者の変更に伴い、解約返戻金や保険金をもらえる権利が長男さんに移転します。
この点をとらえて、長男が特別受益を受けているという主張が可能です。
これは生活費や住宅購入資金など生計の資本として贈与を受けた場合に、贈与財産は遺産の前渡しという意味合いをもちますので、これを遺産の中に組み入れて遺産分割しようというものであり、他の相続人との公平を図る制度です。
なお、この場合、保険金額ではなく、一括払いされた保険料総額(または、これを前提とする解約返戻金額)相当額が遺産に組み入れられる可能性が高いでしょう。