弟が死亡しました。
弟には、妻はおりますが子供はいません。
その弟が被保険者、保険金受取人は母(母は十数年前に他界しておりますが、受取人の変更はしてませんでした。)のS社生命保険があり、ただ、母の相続時に兄弟(相続人は兄弟4名でした。)で話し合い、遺産は兄弟中の1人がすべて相続することで、話がまとまっていました。
この場合、この保険金は弟の妻のものなのでしょうか、それとも母の財産を相続をした二男のものなのでしょうか。
【生命保険金は相続の対象ではありません】
被相続人が保険会社と保険契約を締結していた場合、保険金請求権は受取人の固有の権利なので、被相続人の相続財産には含まれません。
受取人欄に「母」との記載がある場合には、母が受取人になります。
【受取人が死亡した場合に受取人は誰になるのか】
保険契約者と保険会社の保険契約で特別の合意がされていた場合にはそれに従います。
これは保険約款に記載されています。
保険約款とは、生命保険に入ったときに保険会社から交付される細かな字で書かれているものです。
ここに受取人が死亡した場合の対応の仕方が記載されていた場合にはこれに従います。
他方、そのような合意がなかった場合には、保険法の規定に従います。
古くは商法に規定があったのですが、平成20年に制定された保険法はこれを改訂しました。
保険法46条によると、保険金受取人の相続人全員が受取人になると考えられます。
具体的には、保険金受取人死亡時における相続順位に従って、相続人になった者及びそこからの順次の相続人であって、かつ、保険契約者の死亡時に生存する者のことを意味すると考えられています。
【保険会社が間違って支払っていた場合】
保険会社が間違って支払っていた場合には、保険会社に保険金を請求する方法と弟さんの奥さんに返還請求する方法がありますが、いずれにせよ大変ややこしい問題ですので、法律の専門家である弁護士と相談されるといいでしょう。
【遺産分割合意との関係】
母の相続人が保険金を受け取ることができるという前提が正しいとした場合、「すべての相続財産は二男が相続すると決めて」いるという合意との関係が問題になります。
生命保険金は遺産ではないというのが裁判所の見解です。
そのため、相続人間の遺産に関する合意とは関係なしに、各相続人の法定相続分に従って、母の相続人全員が取得することになります。