【質問の要旨】
・遺留分の計算方法は?
・遺贈を受けた者が死亡した場合、その相続人に承継される?
・遺留分減殺請求書の送付先の者が死亡した場合、その相続人に再度送付する必要はある?
【ご質問内容】
被相続人 A
Aの長女 B
Aの養子(長女の夫) C (相続調停中に死亡)
B Cの長女 D (他家に嫁ぐ)
B Cの二女 E (他家に嫁ぐ)
Aの二女 F
Aの三女 G (私は Aの三女 Gです)
AはBCに1億円相当の不動産を2人に等分に相続させる旨の一部遺言を遺す。
遺産は他に 400万の預金 300万の現金を遺す。
Aの死亡後、 相続調停中 9ヶ月後 Aの養子Cが死亡した。
D, EはB,Cの子供ですが、 B,Cが養子縁組する25年前に出産した子供です。
以上の状況で下記の3点を教えて頂きたく メール致します。
1. Aの子供 二女F 三女Gの遺留分計算方法
2. Cの死亡後、 Aの遺言相続はD,Eに承継されるのか
3. FGからCへの遺留分減殺請求はすでに送付済であるがD,E対しても遺留分減殺請求を送付しなければならないのか?
以上 よろしくお願いいたします。
遺留分について非常によく勉強され、整理されているように思われます。
3点につきご質問いただいていますが、回答の都合上、質問2から回答していきます。ご理解ください。
【質問2・・D・Eの相続】
Cは相続に関し調停中に亡くなられたとのことですので(このような場合を数次相続と呼びます)、Cの相続人であるD・Eが、Cの相続分を法定相続割合に応じて引き継ぐことになります。
今回は、Aの死亡後にCが死亡したという順序ですので、代襲相続ではなく、配偶者であるBも相続人になる通常の相続になります。
この点はCの養子縁組前にD・Eを出産した場合でも変わりません。
【質問1・・遺留分の計算】
今回の被相続人Aさんの相続人は本来、3人の娘(B・F・G)と養子であるCの4人です(Cの死亡後は、前述のとおりBとD・Eが相続します)。
それぞれの相続分は本来4分の1ずつであり、遺留分はその2分の1ずつです。
上記のことから、ご質問に記載された財産が全遺産だとした場合の遺留分は次の通りとなります。
総遺産 土地(1億円)+預金(400万円)+現金(300万円)=1億0700万円
Fの遺留分・・・8分の1(4分の1×2分の1) 約1337万円
Gの遺留分・・・8分の1(4分の1×2分の1) 約1337万円
※注 2019.7.1以降の相続については、法律が改正されましたので、末尾のコメント参照願います。
【質問3・・遺留分減殺請求を受けた地位も引き継ぐ】
今回はD・EがCの地位を引き継ぐ結果、Bと同様にD・Eも「遺留分減殺請求を受けた地位」も引き継ぐことになります。
そのため、法的には、改めてD・Eに対して遺留分減殺請求の通知を送らなくとも、請求権が失効するわけではありません。
ただし、実際上はD・Eを紛争(あるいは調停)に巻き込む必要が出てきますので、あえてD・Eに対し遺留分についての紛争があることを知らせておき、紛争・調停の当事者であることを明確にしておく必要があるでしょう。
相続法改正の影響
民法が改正され、令和元年7月1日以降に発生した相続については、遺留分の請求により生じる権利を金銭化し、「遺留分侵害額の請求」という形で請求することになりました。
詳しくは「相続法改正9 遺留分制度に関する見直し」を参照してください。