父の死後二年経過した時点で、相続行為がなされぬまま、父の名義で株のネット証券に口座を開設し、父の預金を移して株の運用をしていました。
その後、遺産相続のため、そのお金を(損出はありませんでした)元の父の口座に戻したあと、自分の口座に全額振り込みました。
一部は委任状を自分で作成、残りはATMで処理しました。
以上は他の相続人の了解はもらっていません。これからそのお金を相続人と分ける予定ですが、私文書偽造、同行使、詐欺罪、窃盗罪に問われるでしょうか?親族相盗で許されますでしょうか?教えてください。
【刑事問題になりにくい】
遺産は各相続人の共有財産ですので、厳密に言えば勝手に自分のために浪費したり自分の預金口座に移し替えたりすれば刑法上、窃盗や横領などの罪に該当します。
しかし、質問でもご指摘されているように刑事事件になりにくいのが現状です。
これは、刑法には、親族相盗例という規定があり、親族間の窃盗や横領、詐欺などは処罰されない(正確には《刑を免除する》という条文がある)ことから、警察も捜査をしないからです。
警察としては、家族内の問題なので、よく話し合って解決するようにという立場をとるのでしょう。
【銀行に対する関係では犯罪が成立するが・・】
そのほか、委任状を無断で作成したという点について、有印私文書偽造、同行使罪の成立の余地はありますし、これには親族相盗例というものはありません。
ただ、問題の実質は結局のところ家庭内の遺産分割問題ということに変わりはありません。
特に本件では、最終的にお金を持ち逃げしたわけではなく、遺産分割協議に応じるということであれば、他にかなり悪質な事情や銀行からの被害申告でもない限り、警察が動くことも考えにくいと思われます。