伯父が亡くなった際に同居していた方(この方も相続人の1人です)が弁護士を絡めて遺産の情報を集めたらしいのですが、こちらに目録を提示してもらえず遺産分割協議が進まない状況です。
こちらでわかっているのは、被相続人の住所・氏名の他、家・土地・農地あり JAと郵貯銀行に口座があるという事だけです。
他の金融機関にも口座があるかもしれませんし、不動産関係でも住所以外の土地については何もわかりません。
この状況から分割協議用の目録を作るところまでの調査が可能であるかどうかのご相談です。
【情報がないと目録は作れない】
現在判明しているのは、金融機関ではJA及びゆうちょ銀行だけ、不動産は住所だけというのであれば、遺産目録を作るのは困難です。
金融機関に遺産調査をするには、どの金融機関のどの支店というところまで判明している必要があります(但し、ゆうちょ銀行の場合は例外で、各地域を管轄する事務センターの範囲内である貯金の内容が判明します)。
また、自宅以外の不動産を調査するときにも、最低限、どこの市町村に不動産があるかという程度の情報が必要です。
【それでも何とか努力したいというのなら・・】
それでも何とかしたいというのなら、以下の方法を考慮されるといいでしょう。
①判明している金融機関の取引履歴から探っていく。
ゆうちょ銀行やJAがわかっているのであれば、その取引履歴の中に他の金融機関から入金した分がないかどうかを確認するのも一方法です。
②自宅付近の金融機関をのきなみ照会する。
当事務所が扱った案件で、被相続人の住所の近くの全金融機関(約40社)に照会を出したことがあります。
その結果、3支店と取引があったことが判明したケースがあります。
③不動産の抵当権から探る。
また、自宅の登記簿謄本(全部事項証明書)を取り寄せして、金融機関が抵当権を設定しているのなら、その抵当権を設定している金融機関に照会を出すことも考えていいでしょう。
④ライフラインなどから探る。
水道・光熱費・電話代などは通常、引き落としで支払っています。そのため、これらの料金引き落とし口座がどこかを電力会社はガス会社などから教えてもらうという方法もあります。
また、年金の受取口座から探るという方法もあります。
【他の相続人から情報を得る方法はないか・・】
伯父さんと同居していた相続人が、弁護士に依頼して遺産調査をしているのなら、その調査結果を聞くのが一番早いでしょう。
そのための方策としては、遺産分割調停をし、その中で遺産内容を明らかにしてもらうしかないでしょう。
ただ、相手方となる(伯父さんと同居していた)相続人が遺産内容を正確に明らかにする義務はありませんので、相手方のいうことを信頼する以外にはないということになります。