主人が心臓病で1か月前に突然死しました。
亡くなった日の朝、銀行が開くと同時に主人の母が、定期預金400万円を葬儀費用にあてるためと全額おろしてきました。
銀行ははじめいろいろと質問をしたそうですが、うまく話をしたら降ろすことができたと亡くなってから1か月後に知りました。
たとえ主人の母が降ろした預金も妻として私には相続財産となると思うのですが、通帳関係を一切、開示しない母親に対して、妻の私は何も知ることもできず、困っております。
通帳や預貯金の開示義務をどのように説明、または残りの預金だけでも相続する権利はあるのでしょうか?
生命保険も親がかけていたため、妻のわたしは何も教えてもらえず、ただ実印、署名をせまられるだけです。
ご回答よろしくお願いいたします。
【相続人となる人と相続分】
相続人は法律で決まっています。
第1順位は、被相続人の配偶者であるあなた(法定相続分2分の1)と子(子全部で合計2分の1)です。
子がいない場合には、第2順位として被相続人のお母さんが相続人になりますが、その場合、配偶者であるあなたの相続分は3分の2で、お母さんが3分の1になります(お父さんもいる場合には、お父さんとお母さんで併せて3分の1になります)。
【あなたの預貯金に対する権利】
ご主人の死亡後にお母さんが預貯金を引き出されたようです。
子がいる場合にはお母さんには相続権がありません。
子がいない場合には預貯金のお母さんは3分の1をもらう権利があります。
しかし、3分の2はあなたの相続分ですので、お母さんが払戻しを受けた預貯金について、あなたは3分の2をもらう権利があります。
それ以外の預貯金があるのであれば、それもあなたが3分の2をもらう権利があります。
【預貯金の開示請求について】
お母さんにどのように説明するかという点ですが、これはあなたにも相続権があり、財産内容を知る権利があるということを粘り強く説明するしかありません。
しかし、預貯金を勝手に引き出すようなお母さんであれば、預貯金の口座を聞いても、おそらく教えてくれないでしょう。
結局、あなたが調査してみるしかないでしょう。
調査方法は、ご主人が口座を置いていたと思われる金融機関支店に問い合わせをする(但し、ゆうちょ銀行は支店を特定する必要はない)ことになります。
その方法は過去のブログ(Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 )に詳しく記載しておりますのでご参照ください。
なお、金融機関の中には、相続人全員の同意がないと開示できないというところがあるかもしれませんが、この点については最高裁判所の判決で、相続人であれば取引履歴の開示が可能という判決がでています(「【判例散策】平成21年1月22日 最高裁判例」参照)ので参考にしてください。
【生命保険の調査】
生命保険について、調査をするかどうかも問題になります。
通常の場合、契約者が被相続人(すなわちあなたの夫)という場合には、保険会社は契約内容の照会に応じてくれます。
しかし、生命保険は親が掛けておられたとするならば、その契約の契約者は親、被保険者はあなたの夫、受取人はあなた以外の人ということになります。
この前提でいえば保険会社は回答をしてくる可能性は少ないです。
今回の質問では、《お母さんが実印・署名を迫る》と記載されています。
これは、あなたに何らかの権利があるからだと思われます。
お母さんが署名捺印を迫る書類を見て、どこの生命保険会社かを確認できれば、その生命保険会社に照会をかける必要があるでしょう。
【専門の弁護士に相談することを検討しましょう】
お母さんの態度から見ると、あなたが交渉して問題が解決する可能性は少ないように思います。
できれば、お近くの相続に詳しい弁護士に法律相談し、場合によれば遺産調査やその後の交渉を依頼されることをお勧めします。