95歳の祖母には、弁護士の後見人がついています。
それで、推定相続人のいとこと叔母が後見人がつく前に祖母のお金を勝手に700万近く使い込みし、また、勝手に定期預金700万~を解約していました。
後見人により、定期預金分、700万は返金してきましたが、残りの700万は、言いがかりだけいい、反省もないうえに返す気もない様子です。
祖母の面倒は、母、私と姉、叔母の四人で見ています。
推定相続人の3人の孫は、介護に参加していません。
この、行為は廃除に該当する「著しい行為」であると思います。
推定相続人である孫を、後見人の弁護士が祖母の代理で裁判所に廃除の申し立てをすることは可能でしょうか?
お忙しいと思いますが大変困っていますので、どうかお力とアドバイスをお願いいたします。
【不正出金のみでは著しい非行とは言いがたい】
《著しい非行》があった場合、被相続人は家庭裁判所に相続人の廃除の申立をすることができます。
この廃除が認められるとその著しい非行をした推定相続人は相続資格を失います(但し、その子供の代襲相続は可能です)。
問題は、《著しい非行》とはどのような行為を言うのかという点です。
虐待や侮辱などの暴力的、精神的が廃除事由の典型ですが、不正出金や浪費などのように金銭的・経済的な打撃といった事情はそれほど重要視されていないという印象があります。
親のお金を浪費したり、親の土地を勝手に借金の担保に入れたりしたケースで廃除を認める裁判例もないわけではありませんが、裁判所は単に不正出金があるというだけでは(たとえ700万円という多額といえども)そう簡単に廃除を認めないと考えた方がいいでしょう。
【後見人が廃除の申立をすることはできない・・一身専属権からの制限】
廃除は被相続人の意思に基づいて請求するものです。
難しい言葉でいえば、廃除の意思表示は《行使上の一身専属権》であると言われており、被相続人本人の意思表示が必要なものです。
そのため、被相続人以外の他人は、被相続人のためとは言っても、代理行使ができないものです。
後見人は被相続人の財産管理・維持について自ら権利行使をすることができますが、被相続人そのものではありませんので、被相続人の一身専属権である廃除の申立をする権利まではないと考えるべきでしょう。