昨年9月に父が他界。遺産分割協議書などの処理も終わったとたん、兄が母親の家に行き、実印と通帳を預けろと言いに来たそうです。
理由は年寄りの一人暮らしは危険だから、紛失したら大変だ。そうです。母が断ると「俺のことが信用できないのか?」と凄んで、実印だけは持って行っていまったそうです。
このままでは、いつ通帳も母親のいない間に勝手に持ち出されるか不安でたまらないと母が困っています。
兄は、母の家の40分くらいの距離、私(次男)は遠方です。
特に兄は「自分は長男だから、処理は長男がする」と主張するようです。この兄の行動を止める方法はありますでしょうか?よろしくお願い申し上げます。
【お母さんのことはお母さんが決める】
お母さんの財産管理は、お母さん自身で決定することです。
そのお母さんが、お兄さんの《要請》で通帳をお兄さんに預けるということになれば、それを防ぐ方法はありません。
あなたとしては、お兄さんが預貯金を使いこんだ結果、相続開始時点では遺産が何もなくなっているということを心配されておられるのでしょう。
しかし、現時点で(将来の)法定相続人であるあなたが、お母さんの財産管理をすることはできませんし、お兄さんがお母さんの財産管理をするのを防止することもできないという結論になります。
ただ、以下に述べることも参考にされるといいでしょう。
【成年後見は使えないか・・】
ただ、お母さんが認知症などで財産を管理できない状態(Q&A №249、№280)であれば、成年後見人の選任の申立が可能です。
その申立をした場合、財産管理につき、法定相続人になる人の間で争いがある場合には、裁判所は第三者(司法書士や弁護士)を指定しますので、お母さんの財産の保全をすることができます。
【お母さんとの関係を密接にする】
法律的はことではありませんが次の方法も考えられます。
あなたとお母さんの関係が、お兄さんとお母さんとの関係より密接であれば、お兄さんの申し出を断るようにお母さんに言って、実行してもらうことができるかもしれません。
結局、もっとも確実な方法は、(遠隔地におられるので難しいでしょうが)お母さんとあなたが同居し、お兄さんがお母さんを無理矢理説得することがないよう見守るという方法が有効です。
あるいは、お母さんがお兄さんの言いなりにならないようお母さんを説得しておく、ということしかないように思います。
【将来の遺産争いに備えて、今、するべきことは・・】
お兄さんの態度を見ていると、将来、お母さんの遺産紛争が発生する可能性がありそうです。
その場合には、お母さんがどこの金融機関のどの支店を利用しているのか、又、株式を持っているのなら、どこの証券会社に口座を有しているのかを、現段階で調査・把握しておく必要があります。
法定相続人は、遺産である預貯金の調査ができます。
そのため、お兄さんがどれほどのお金を持ち出したのかを調査するために、調査すべき金融機関等を把握しておくのが、一番有効な方法かもしれません。