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実例Q&A

将来「あなたに相続させる」という約束【Q&A №407】

2014年10月30日

 

 

9年程前の話ですが、父方の祖母が亡くなった際に、父方の祖父の土地と家屋について、父方の伯母三人が気兼ねなく使用したいため、名義を伯母3名にしたい(祖父と私の父は亡くなっています)との申し出がありました。

その際、伯母達が亡くなった後に相続で困ることのないよう、『私に問題なく相続されるように書類を作っておく』との約束でした。(伯母3人にはそれぞれ2人の子供がいます)

私の父は長男で、姉弟の中で男一人であったので、跡継ぎとして親族間での合意があり、また、その一人娘の私が跡継ぎということも、親族間で合意が取れていました。

(ただ、父が病気だったこともあり、祖父が亡くなった際土地の名義は父に変更せず、そのまま私が受け継ぐことになっており、名義は祖父のままでした)

先日、一人の伯母より、名義を変えた土地について「あなたの土地ではない、相続の権利もない」と言われました。

他の2名の伯母は、今のところその様な事は言っていませんが、いつ意見が変わるかはわかりません。

また、現在、約束であった『私に問題なく相続するための書類』は作成されていません。

私の相続が前提で名義を伯母達に変えた土地について、約束が破られたことによる相続放棄の取り消しはできますでしょうか。

また、取り消しができない場合、どういった方法があるでしょうか。

ご教授頂けますと、幸いです。

記載内容  詐欺 騙される 将来の相続

(くろ)

 

【詐欺の証明ができるかが問題になる】

既に伯母さんに登記が移転しているのですから、それをあなたが詐欺を原因として取り戻そうとするなら、裁判なら伯母さんたちがあなたをだましたという点を証明する必要があります。

その証明はあなたがする必要があり、それができなければあなたが敗訴することになります。

過去の《言った。言わない》ということの証明は困難ですし、「私に問題なく相続されるように書類を作っておく」という話があったとしても、それも作られていないのであれば、詐欺を証明するのはやはり難しいという気がします。

【詐欺以外としては、不動産の移転の合意があったとする方法もあるが・・】

なお、詐欺というのではなく、将来、あなたにその不動産の移転を約束していたので、それを履行せよとの請求をすることも可能です。

しかし、その場合でも、そのような合意があったことはあなたが立証することになり、それができなければあなたの方が敗訴することになります。

【跡継ぎという約束だけでは役に立たない】

なお、あなたを跡継ぎにするという話が出ていたということですが、それだけでは問題は解決しません。

跡継ぎという言葉だけでは、所有権の移転とは何の関係もない話です。

そんな話があったというだけでは、本件の土地建物の相続関係には影響を及ぼさないと考えて良いでしょう。

【あるとすれば遺言くらいだが・・】

なお、あなたとしては伯母さんに、将来、不動産を戻してもらうように話をすることも可能です。

しかし、遺産分割に関する約束を生前に行っても法律的には無効です。

どうしてもというのなら、法的に不動産を確保しようと思えば、伯母3人に遺言書を作成してもらうしかないでしょう。

ただ、今回のケースで伯母さんたちが遺言を書いてくれる可能性は少なく、また、仮に遺言書を伯母さんたちが作成してくれたとしても、遺言書はいつでも撤回可能ということも覚えておいていいでしょう。

【一か八かの裁判しかない】

以上のように考えますと、あなたが本件の土地建物について相続権を主張できる余地は極めて少ないものと考えられます。

この場合に執りうる手段としては、まだあなたと対立していない伯母の協力を得て、当時あなたを騙して相続をしたことを立証する証拠を取りそろえて裁判をするくらいでしょう。

しかし、ほかの伯母自身が、当時協力しあってあなたを騙したことを認めてあなたに協力してくれる可能性は低いと思われますし、一か八かの裁判をするしかない、という状況であるのが実際のところかと思われます。

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