【質問の要旨】
祖母が開設した娘名義の口座の取引内容を確認することはできるか?
【ご質問内容】
離婚をして10年以上経ちます。娘が1人います。
昨年、娘の父親が亡くなりました。元夫は母親と会社を経営してました。
元夫の母からは借金しかなく娘には何も渡すものは無いと言われました。
今まで父親からは養育費として少しは頂いてたので祖母は19歳まで生活費を渡すと言ってます。
先日、祖母が生活費とは別に少しづつ貯金をしてあげるからと娘の銀行口座の開設に行きました。
通帳と印鑑は祖母が持ってます。
しかし周りからはその口座に遺産関係が入るからだと言われました。もしそうだとしたらどうなるのでしょうか?
通帳、印鑑が無くても娘は口座の取り引き内容は閲覧できるのでしょうか?
私は全く関わりたく無いのですが娘が大学に行きたいと言ってるので学費だけでもと思っています。
※敬称略とさせていただきます
【元夫の相続人は娘】
元夫の相続人は、①配偶者、②子です。
仮に、あなたと元夫が離婚した後に再婚していればその者が配偶者になり、再婚していれば配偶者はいないことになります。
また、元夫に他に子がいれば、あなたの娘と同じくその子も相続人になります。
なお、上記①及び②のいずれの場合でも、元夫の母親やあなた自身は相続人ではありません。
【相続するということは借金も引き継ぐということ】
相続するということは、元夫の財産も借金などの負債もすべて引き継ぐということです。
なお、相続人である娘が未成年であれば、親権者であるあなたが娘の代理人として相続手続をすることになります。
【元夫の遺産や借金については調査をすべき】
元夫の母親の話では、元夫には借金しかなく、娘に渡すものはないとのことです。
もし、元夫の母親の話が正しいとすれば、娘は元夫の借金を相続してしまうことになります。
又、ひょっとすると財産があるかもしれません。
今後の娘の行動を考えるには、元夫に借金があるのかどうか、又、財産があるのかどうかを調査する必要があります。
調査の結果、借金が多ければ相続放棄の手続きをし、借金もあるが財産もあるというのであれば、双方を比較して財産が多いと判断すれば相続人として財産を取得する手続きをすることになります。
いずれにせよ、亡夫の財産調査は必要不可欠です。
【相続放棄するなら3ケ月以内に】
相続放棄は、相続があったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てする必要があり、3か月の期限内に調査が終わりそうにないなら、放棄をする期間を延長(これを熟慮期間の伸長といいます)する必要があります。
【印鑑を預けてはいけない】
祖母に娘の口座を作ってもらうために印鑑を預けたということですが、もし実印を預け、印鑑証明書を渡したというのであれば、それは極めて危険な行為です。
娘の実印と印鑑証明書があれば、遺産分割協議書が勝手に作成されたり、亡夫の遺産である預貯金が勝手に解約されるかもしれません。
娘さんが未成年のようなので、親権者であり、法定代理人であるあなたが娘さんの口座を作ることができます。
もし娘の口座を作るので、あればあなたがその手続きをし、口座を祖母に連絡すればよく、印鑑まで預ける必要はありません。
【遺産が入るかも??】
遺産を渡す気があるのなら、当然、祖母は、亡夫の遺産は借金だけというような話もしないはずです。
もし、あなたが渡した印鑑が実印であり、かつ印鑑証明書なども渡したのであれば、祖母としては銀行等で亡夫の預貯金を解約取得する手続きができる場合があります(法定相続人である娘のもらうべき遺産を祖母が勝手に引き出すという最悪のケースも想定されます)。
あなたとしては、そちらを心配するべきでしょう。
もう、遅いかもしれませんが、預けている娘の印鑑などもすぐに取り返した方がいいでしょう。
【まず、するべきことは遺産調査と印鑑の回収】
あなたが娘の学費をなんとかしたいというのであれば、亡夫の預貯金など、遺産の調査をするべきです。
娘は相続人ですので、娘を代理して、元夫の預貯金の取引履歴を取り寄せすることは可能です。
亡夫の預貯金などは、娘が亡夫の子であることを証明する戸籍や実印などがあれば、過去の取引内容を含めて、調査が可能です。
(調査方法についてはリンク参照)