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実例Q&A

★不正出金による窃盗罪は成立するか【Q&A №389】

2014年6月19日


 

父の死亡後、長男が父名義の預金(90万円と150万円)を2ヶ所の銀行から全額引き出しました。

2ヶ所の銀行には「相続問題は発生してない」と嘘をついて引き出したようです。長男は相続の話し合いでは上記の件を隠していましたが、私が各銀行を尋ね、取引履歴や残高確認の調査をして発見しました。長男は返還する意思は全くないようです。

相続財産は相続者全ての共有財産で、勝手に引き出す行為は窃盗罪になり犯罪暦が付く、最高裁の判例では、勝手に相続財産を(個人的に)引き出した者は「他の相続者が受け取る財産を盗んだ」事になっている。またこのような不法行為を行った者はその財産の相続権も失うと説明したところ、「最高裁の判例を具体的に示せ」「相続権も失うと書いてある法律は何か」と質問してきました。

この長男の質問に回答できる情報を教えて下さい。

記載内容  不正出金 窃盗罪 銀行

(ももちゃん)

 

【詐欺罪ないし窃盗罪の余地はあるが】

銀行は預金者から金銭を預かって占有保管をしています。

名義人以外の人が、名義人になりすまして預貯金を引き出す場合、銀行が占有・管理する金銭を引き出すことになります。

窓口で引き出す場合には、窓口担当者をだましてお金をもらうのですから、銀行に対する詐欺罪が成立しますし、又、銀行のATMでの引き出す場合なら、騙すという行為がない(ATMは機械ですのでだますということにはなりません)ので窃盗罪が成立することなります。

【親族相盗例の適用はないが・・】

刑法には親族間の窃盗などの場合には、窃盗罪は成立しても処罰はしない(親族相盗例。末尾の条文をご参照ください)と定められています。

ただ、預金の引き出しの場合、被害者は銀行ですので、厳密にいえば親族相盗例の適用はなく、処罰することは可能です。

【相続人の場合には・・】

相続人が被相続人の死亡を隠して、被相続人名義で金銭を引き出す場合も同様であり、名義を詐称した法定相続人については、銀行に対する詐欺罪または窃盗罪が成立しますし、処罰されるはずです。

ただ、相続人であれば少なくとも預貯金の一部は相続で受取る権利があり、遺産分割協議においてその相続人が引き出された預金を(協議の結果によれば全部を)相続する可能性もあることなどから、警察も積極的に捜査をせず、事件として立件されることがほとんどありません。

【最高裁判例について】

当事務所の使用している判例検索システムで調査した限りでは、最高裁判例の中で、被相続人の預貯金を引き出した場合の、相続人の詐欺や窃盗について触れたような案件は、見当たりませんでした。

【相続人資格を失うといったことは考えにくい】

相続人資格を失うのは欠格、廃除などがあります。

欠格は、被相続人を殺害したり強迫等により遺言を書かせたりするなどの重大な事由がある場合に相続人から除外されるのであり、預貯金の引出とは関係がありません。

又、廃除は被相続人に対して虐待あるいは重大な侮辱その他の非行があった場合に相続資格を失うものであり、遺産を勝手に引き出したような場合に適用されることはありません。

そのため、法的に遺産たる預金の無断引き出しがあったからと言って、直ちに当該財産について相続権を失うことにならないという結論になります。

《参考条文》

刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)

1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪、第二百三十五条の二の罪(不動産侵奪罪)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
   (以下略)

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