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実例Q&A

★20年以上前の不正出金【Q&A №456】

2015年7月15日

 

【質問のまとめ】

17年前に亡くなった祖母の遺産であったはずの預貯金から、不正出金したと思われる伯父の妻からお金を取り返すことはできますか?

記載内容  不正出金 生前贈与 時効

【ご質問内容】
 

17年前に亡くなった祖母の遺産のことでご相談します。
 

祖母は戦死した祖父の遺族年金受給し、亡くなる3年前に施設入所(世帯分離)。
 

共同相続人の伯父は7年前に他界。
 

母は現在、障害のため出廷不可。
 

先日、伯母(伯父の妻)より祖母の郵貯の残高証明が送られてきました。
 

残額は247円。
 

手紙には、以下の主張が書かれておりました。

1.祖母の入所前に、私に通帳と印鑑を渡した。生前だから法的に問題がない(公正証書も通帳もなく、使途不明。)

2.私の父の借入書が残っていたため、それで相殺する(伯母の誤認識で完済済み。)

3.当時母と私に預金があるため、相続は不要

 

3回忌の連絡すらなく、今回初めて生前贈与の話を聞きました。
 

伯母は表見相続人であり、真正相続人である母の相続権を侵害しているのではないでしょうか?この内容は、相続権回復請求できるのでしょうか?
 

自身が不正を働いている事実をきちんと認識して情報を開示し、分割協議に応じてもらうにはどうしたらよいでしょうか?
 

祖母が入所する前に金額は1600万程度あったそうです。

伯母は我が家の三文判を自分で購入していました。勝手に委任状を作成されたのか、農協の口座も解約されていました。
 

伯母の父は出征せず、戦争で苦労していません。生涯一度も働いたことのないのに、母に祖母が亡くなったら金をとりに来ると罵ったそうです。
 

お知恵を拝借したく、どなたかお願いします。

(hiro)

 

【相続回復請求はできない】
 

相続回復請求ができないかという点にお答えします。
 

法律で相続回復請求権が定められています(民法884条)が、この権利は戸籍上では相続人だが、実際は相続人でない人(表見相続人といいます)が遺産を引き継いだ場合に、本当の相続人(真正相続人といいます)が引き継いだ遺産を返せという権利です。
 

例えば、被相続人である養親の同意もなく、勝手に養子縁組届出をした養子が遺産を全部取得した場合、他の相続人(例えば被相続人の兄弟)から遺産を返せという請求をする権利です。
 

今回の質問の場合、伯母さんは戸籍上の相続人ではありませんので、遺産を不正に取得していたとしても相続回復請求をすることはできません。
 

ただ、次にのべるような手段が考えられます。

【お祖母さんに無断出金で着服の場合は、消滅時効が問題となる】
 

もし、お祖母さんの生前に、伯母さんがお祖母さんから預かった預貯金通帳から無断でお金を出金し、着服したというケースで考えてみます。
 

この場合、お祖母さんには伯母さんに対する不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権が発生します。
 

お祖母さんが死んだ場合には、これらの請求権は法定相続人が法定相続分で相続します。
 

お祖母さんに配偶者はなく、子が叔父さんとあなたのお母さんだけだとすると、お母さんの法定相続分は2分の1であり、あなたのお母さんは伯母さんに対する返還請求権や損害賠償請求権の2分の1を相続で取得したことになります。
 

ただ、お祖母さんの死亡したのが17年前のことだとすると、伯母さんの着服は更にそれ以前のことになりますので時効で消滅しているかどうかが問題となります。
 

不当利得返還請求権であれば消滅時効は10年ですので、既に時効で請求できません。
 

そのため、請求するとすれば不法行為に基づく損害賠償請求でしょう。
 

この場合は着服という不法行為があった日から20年間で時効になりますので、着服行為から20年以内であれば請求が可能です。

【お祖母さんが生前贈与した場合】
 

通常、多額の生前贈与があった場合には、遺留分減殺請求をすることができる場合が多いです。
 

ただ、遺留分減殺請求権は、相続開始の時から10年を経過したときは消滅してしまいますので、本件の場合は、減殺請求はできないという結論になります。

【現在、するべき作業は何か】

以上に述べたように、相続回復請求はできませんし、遺留分減殺請求もできません。

そのため、法的に請求をするとなれば、不法行為に基づく損害賠償請求しかありません。

伯母さんがいつ着服したのか(この点は時効に関連します)、また、どこの金融機関のどの支店からいくらを出金したのか、果たして伯母さんが取り込んだといえるのか(これらのの点は不法行為の証明に必要です)も確認し、その裏付資料も入手しておく必要があります。

これらの確認のためにはお祖母さんの金融機関に問い合わせをする必要がありますが、10年以上経過した分については多くの金融機関が関係資料を処分していることも多く、その点の解明ができない可能性も高いでしょう。

【分割協議に応じてもらえるかどうか・・】
 

本来ならば、伯母さんが遺産総額を明らかにし、着服した額も明らかにしてくれればいいのでしょうが、現実問題としてはそのような対応をすることは期待できないでしょう。
 

結局は前項に述べたように証拠を示して、追及していくしかないということになるでしょう。
 

ただ、いずれにせよ、多くの法的な問題点があり、また、資料収集の必要性もありますので、できれば相続問題に詳しい弁護士に相談し、どのような手段が取れるのかを確認されるといいでしょう。

 

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