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実例Q&A

相続した保証債務の裁判と主債務者の責任【Q&A №517】

2016年7月7日


【質問の要旨】

相続債務と会社の責任

記載内容  会社 借金 保証

【ご質問内容】

債務超過相続、相続人4名に対する、主債務、連帯保証に対して訴訟提訴を債権者より受けている。

全て抵当権付きのオーバーローン。

相続人の間は養女、私と、妹と従兄弟である相続人の法人仮代表取締役は、相続財産の2分1の未納固定資産税を私達持分支払わないで役所から給与の差押えを私は受けている。

父親は自分の会社に全不動産を担保提供し又貸していた。

その為家賃はこちら側には入金されずあちら側の好き放題に5年近くあちら側は貯めたと推測される。

相続不動産は競売の準備の登記はされたが裁判所からでない。

待っていても競売は無いと思われる。

妹弁護士は法廷で債権者の代弁かのように和解なら1000万円は必要。

馬鹿にしています。

会社も個人も全て売却するのが筋です。

会社を残し騙しながら現金を貯める卑怯者退治、和解案が何かありましたら享受の程宜しくお願い致します。

(きー)


【事実関係の整理】

質問の事情が複雑ですので、当方の理解の限度で次のとおり事実関係の整理をし、その前提で回答します。

① まず被相続人であるお父さんが会社の借金の連帯保証人になり、かつ、所有する不動産を担保に差し出した。

② その不動産はお父さんが会社に貸し、更に会社が第三者に賃貸しているが、お父さんには賃料は入っていない。

③ その不動産には「競売の準備の登記はされた」とあるので、おそらく仮差押登記が付されたが、オーバーローンのため、競売はできない。

④ 以上のような状況の中で、あなたを含む相続人4名に対して債権者から、被相続人の連帯保証債務を相続したという理由で訴訟が提起され、妹さんの弁護士の話では合計1000万円の支払いでなら和解ができる。

という話であるとします。

【訴訟を提起されたことについて】

相続人が相続放棄しない限り、被相続人の負う連帯保証債務があれば、それぞれの法定相続人が法定相続分に分割して、その債務を履行する義務があります。

今回の訴訟はその前提で提起されています。

【会社の財産を探す】

まず、本来は会社が主債務者ですので、会社に財産があればそれからの支払いをしてもらえば、それだけ保証債務が減ります。

そのため、あなた方としては会社に財産がないかどうかをあらゆる手段を使って確認される必要があるでしょう。

もし、発見できれば、訴訟の原告にその情報を流して、会社財産から回収してもらえば、その分だけでも連帯保証債務は減少します。

【賃料はどこに行ったのか】

お父さんの差し入れた担保不動産を会社が賃貸していたようです。

そうするとその賃料はどこにいったのでしょうか。

賃借人に確認すれば支払い先の会社の口座が判明します。

その口座に残高があれば、それを債権者に差押えしてもらって、保証請求額を減額するということも考えてもいいでしょう。

【不動産を競売しても裁判の請求額は減らない】

次に、被相続人であるお父さんが担保に入れた不動産があります。

通常の場合、まず担保になっている不動産を売却し、その不足額を連帯保証人に請求することが多いです。

ただ、今回の場合には、仮に競売がなされた場合、オーバーローンということですので、競売代金は抵当権者等の担保権者にいくだけであり、その他の一般債権者にはいきません。

仮差押登記をつけた債権者であっても、それは一般債権でしかなく、抵当権の方が優先して支払いを受けることになります。

そのため、一般債権者としては不動産から配当される可能性はなく、各法定相続人に訴訟を提起して請求するしかなかったのでしょう。

このような経緯で訴訟が起こされたということであれば、法定相続人としても、被相続人が債務を負っていることが明らかであれば、法的にはその支払い義務は免れないでしょう。

【和解で注意するべき点について】

相続債務の場合、仮に被相続人に1000万円の債務があり、子供4人が相続人であったとすると、各人は4分の1ずつ、金額で言えば250万円の限度で債務を負うことになります。

弁護士によると1000万円の支払いが必要だという言うことのようですが、次の点は注意をする必要があります。

①今回1000万円の話が出ているようですが、これは個別の額なのか、4人の合計の総額なのか確認する必要があります。

②次に総債務額が1000万円だとした場合、各法定相続人が1000万円の支払い義務を負う連帯債務なのか、それとも各人が250万円だけの支払責任を負うにすぎないかという点も確認される必要があります。

③和解をするというのは必ずしも望まないところかもしれませんが、訴訟で判決になると今回の1000万円より多額になる場合も多く、又、年5%程度の利息もつきます。

不本意でも和解の方が得策だということもあり得ます。

和解の条件と判決が出たときのどちらが有利であるかを弁護士の意見も参考にされ、判断されるといいでしょう。

 

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