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実例Q&A

遺留分対象のマンション売却について【Q&A №625】

2018年10月22日

【質問の要旨】

遺留分減殺請求後の不動産売却

【ご質問内容】

遺留分対象の中古マンション売却についてご質問がありメールしました。宜しくお 願い致します。

父が他界し、相続が発生。

相続人は先妻の子(4名)と後妻の計5名です。

公正証書遺言 があり預金は後妻と先妻の子らで折半、中古マンション(1部屋)は後妻相続(名義は後 妻変更済)となっています。

現在、相手方代理人とFAXを使い話し合っています。

マンション売却について相続終 了まで売却代金を相手方代理人口座で預かる事を条件にマンション売却に同意しまし た。

相手方代理人より不動産売却について署名捺印の同意書(売却予定金額2000万円 と瑕疵担保責任免責が記載)の提出を求められています。

売却には同意したのです が、同意書の提出は同意したつもりはありません。

相手方代理人は、同意書がないと相続人5名のうちの誰かが途中で売却を中止してくださいと言った場合、買い手から5名に対して損害賠償請求される可能性があるから 同意書がないと売却できないと主張しています。

現在、相手方にマンション売却の一 時中止をお願いしていますが、相手方はマンションを売却中です。

ご質問

①こちらは相手方作成の同意書を提出しないと損害賠償を請求されるのでしょうか。

②相手方代理人が辞任や解任された時は、売却代金が後妻に行ってしまう可能性が分 かったので、売却中止を求めると相手方より損害賠償等の請求をされる事はあるので しょうか。

(雪男)


 

 ※敬称略とさせていただきます

 

【後妻はマンションを単独で売れる】

父の死亡後、遺言書でマンションは後妻の単独名義になっています。

後妻以外の相続人(あなたを含む)は、売却代金を後妻の弁護士が預かることを条件に、後妻がマンションの売却をすることに同意しました。

以上の前提で考えると、後妻としては単独でマンションを売却するについては、何ら法的な障害はありません。

そのため、後妻としては、サッサと単独で契約し、その代金を弁護士が預かり、その後、これを他の相続人に分配するということで問題が解決するということになります。

【なぜ、同意書が必要なのか】

法的には同意書を出す必要はありません。

ただ、売買に関連する仲介業者としては、後妻以外の他の相続人が売買の邪魔をしない保証が欲しいのでしょう。

質問にははっきりとは記載されてはいませんが、おそらく、他の相続人としては遺留分減殺請求権を行使できる(あるいはした)立場にあります。

そのため、業者としては、売買契約締結の途中でそのような権利主張がでてきたら、契約が中途でストップする、そのようなことがないように同意書が欲しいと言ってきたのでしょう。

【法的には原則、同意書を出す必要はない】

あなたが同意書を出さなければならない法的な理由はありません。

ただ、気になるのは、弁護士が売却代金を預かることを条件にマンションの売却をすることに同意したようですが、その際、私なら、合意内容を文書化しておきますし、その中で《後妻以外の相続人は売買に協力する》という内容に加えて《売却に必要な書類の作成に協力する》との一文をいれておきます。

もし、これがあれば、あなたは同意書を作成する義務があります。

以上の前提で買主からあなたへの損害賠償を考えてみると次のような結論になります。

① あなたが、協力義務があるにもかかわらず、同意書を提出しないというのなら、後妻から債務不履行だということで損害賠償ということもありえます。

② もし、相手方弁護士が辞任あるいは解任された場合には、売買代金をその弁護士が預かれなくなったときには、代金の確保ができません。

そのため、売却に協力しないことが可能であり、その場合には損害賠償を受けることはないでしょう。

参考までに言えば、買主が損害賠償を請求するのは、売主である後妻に対してであり、あなたに損害賠償を請求することは考えにくいです。

【文書化されていなければ、この際、文書化をする】

今回のような売却代金を預かるという形で遺産を売却する場合に、一番、リスクが高いのは、後妻が代金全部を使うことでしょう。

そのリスクを避けるため、代金を弁護士が預かるということにした、弁護士の信用を担保にしたということでしょう。

ただ、弁護士が預かるということが売買契約を認める前提条件であるとの点は明確に証明できている必要があります。

もし、まだ、文書化されていないのなら、この際、同意書の提出と引き換えに弁護士預かりが条件だと明確に文書化するといいでしょう。

【リスクを回避するなら、処分禁止の仮処分】

次に、その弁護士が信頼できる人でないと将来の分配が心配になります。

仮にその弁護士が信頼できるとしても、後妻がその弁護士を解任した場合、弁護士は後妻に金を引き渡すのではないかという不安は消えません。

現在の業者は同意書を要求しているのでしょうが、そのような同意書なしで売却する業者も多いです。

もし、あなたが、後妻も弁護士も信頼できないというのであれば遺留分減殺を理由として、遺留分の限度で売買できないという内容の裁判(処分禁止の仮処分の申立)をされるといいでしょう。

この裁判が出ると、遺留分の限度であなたの登記が付き、あなたへの支払いが確保できます。

ただ、裁判が出るためにはいろいろな要件がありますので、是非、相続に強い弁護士と相談されるといいでしょう。

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