父の死後、継母と養子縁組のない子供たちとの間で遺産分割協議書を作成中にその継母が亡くなりました。
父が余命わずかであると分かった時点でおろした預貯金は継母の通帳にとりあえず入金してありました。
この預貯金の取り扱いはどのようになるのでしょうか。
父の遺産は協議書の作成中だったため一円もまだ貰っていません。
【無断の場合は継母に返還請求ができる】
父が亡くなる直前に下ろした預貯金を継母名義の預金に入れたということですが、父に無断でなされたのであれば、父から継母に返還請求する権利が発生します。
そして、継母に相続人がいる場合には、その相続人に対しても返還請求をすることができます。
父が亡くなった後は、この返還請求権は財産的権利ですので、相続人に相続され、各相続人が継母(及びその相続人)に対して返還請求ができることになります。
【預金は継母の相続財産です】
引き出されたお金は継母名義の口座に入金されていますので、この引き出し分を含めて、継母の預金全部が継母の相続財産となります。
従って、継母の相続人がこの預金を相続によって取得することになります。
今回の相談者は、継母と養子縁組をしていないで、継母の遺産からは何も相続することができません。
もちろん、上で述べたように、父の相続人であるあなたは、継母の相続人に対して預金の返還請求をすることができます。
しかし、これは法律上の問題です。
現実の問題として、継母の相続人が預金を相続して使ってしまった場合は、返還を求めることが困難になります。
【仮差押手続きが必要です】
もし相手方が預金を遺産分割して使ってしまったなら、返還を求めることが困難になります。
一刻も早く、弁護士に相談される方がいいでしょう。
相談の際には、父の死亡直前に現金が引き出されたこと、その引き出したお金が継母の預金口座に入れられたことなどを説明し、裏付証拠もあればもっていきましょう。
弁護士なら、継母の相続人に対して継母の預金を引き出すなという内容の債権仮差押えをすることができます。
この手続をすると、継母の相続人は勝手に預金を引き出せなくなります。
このような手を打った後に、継母の相続人と返還を求めて交渉する、あるいは訴訟等の法的手続きをするのがいいでしょう。