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実例Q&A

★亡母の年金収入からの支出と特別受益【Q&A №400】

2014年9月10日

 

 

11年8カ月間、2病院を継続入院していた母が、95歳10カ月で亡くなりました。

その間の他の病院、医院への搬送、見守り、介護、諸用事などが、伴いました。

葬儀終了後の翌々日、遠く離れた都会に住む弟(故人)家族から、遺産について、唐突に詰問するような長電話をうけました。

亡き弟には2人の子(成人)がおり、二男がその母同席の下、かけたと後日、弟の妻が話しました。

相続人は弟の子2人と私の3人です。

母には遺族年金、厚生年金併せて月当たり28万円位(年330万円)あり、自己の葬儀、法要、墓の移転整備費用として480万円残して逝きました。

母は93歳1カ月時、認知症発症とレセプトにしるされてました。

入院中の病院への支払いは月約10万円(年120万円位)です。

49日忌法要には相続人の2人は欠席、弟の妻が出席、その際、法要後、用意した書類をみるか、と聞くと、「みなくていい、田舎の風習があるようだから」と、納得したものだとおもってました。

ところが唐突に、調停を申立ててきましたので、驚いて困っています。

12年弱の入院期間中、弟の遺族は延べ……回病院へ顔だしたか?

葬儀、墓地の購入、墓の整備、法要関連費用に700万円超の出費です。

弟の遺族は入院期間中の年金や遺産を公平?に半額分要求です。

年金からの出費は、病院、後期高齢者保険料、雑費、家族の生活費などです。

特別受益、持ち戻し免除とか、ご教示のほど、よろしくおねがいします。

記載内容  不正出金 入院費 介護費

(ろうねんろまん)

 

【特別寄与の主張について】

お母さんが死亡し、相続人はあなた(法定相続分2分の1)と、亡くなった弟の2人の子供(代襲相続人、法定相続分は各4分の1)という案件です。

さて、弟さん側はお母さんの面倒をほとんど見なかったようですが、このような場合でも弟さんの子供らには相続する権利があり、その法定相続分は上記のとおり4分の1です。

親の面倒を見ないのに相続分を請求するのには不満がおありでしょうが、現在の民法の規定では相続人から除外することはできません。

ただ、あなたがお母さんの面倒を見ていたのですから、遺産の減少を防止し、あるいは遺産を増加させたという点を主張して、特別寄与の申し立てをすることも可能です。

ただ、一般的には生活の面倒を見たことだけで、特別寄与として認定されることは少ないのが実情です。

特別寄与と認定されると、遺産の分割に先立ち、その寄与分があなたに支払いされます。

【特別受益について】

生前、お母さんから金銭等の贈与を受けたような場合には特別受益の問題が発生します。

あなたの家族の生活費がお母さんから出ているということであれば、この金額が特別受益と主張される可能性があります。

あなたが生活に困っていたため、お母さんから生活費を援助してもらった、しかもその金額が月額で10万円程度であれば、それは親族間の扶助義務の履行であり、特別受益にはなりません。

しかし、あなたが生活に困っていない、あるいは毎月もらう額が10万円をかなり超すというのであれば、その10万円を超す総計額が特別受益とされる可能性があります。

そのため、お母さんが病院費や生活費に使った費用が多く、あなたが生活費としてもらったという金額が少ないという点を証明できるように用意されるといいでしょう。

【持ち戻し免除について】

特別受益になる場合には、その特別受益額を遺産に持ち戻して(加算するということで、その分、分割の対象となる遺産額が増加します)、遺産分割をすることになります。

ただ、特別受益になる場合でも、お母さんが《遺産への持ち戻しをしなくてもいい》と言っておられたような場合には、《持ち戻しの免除》の意思表示として、特別受益の持ち戻しをする必要はありません。

生前に《遺産分割において持ち戻しをする必要がない》と発言したり、書面で書かれたりするような明示の意思表示をする場合だけではなく、状況からみて、そのような意思を推測できる(黙示の意思表示をしている)場合には、持ち戻しの免除が認められます。

たとえば、相続人が病気や障害のある相続人のためにまとまった財産を生前に贈与しているケースなどは、持ち戻し免除とされる可能性があります。

また、親と同居のために建物を建設する場合に、その親の敷地を無償で使用する権限をもらう場合も黙示の意思表示とされる場合があります。

あなたの場合も、万一、毎月の生活費が特別受益に当たるなら、《親と同居してその世話を見ることを条件として援助を受けたのであり、持ち戻し免除があった》と主張されるといいでしょう。

【葬儀費用等の扱い】

なお、お母さんは自己の葬儀、法要、墓の移転整備費用としてお金を遺していかれたということですが、葬儀費用は相続の際、債務や費用としては認められない場合もありますし、また、法事費用や墓の移転費用などは相続の費用としては認められない場合が多いです(相続 Q&A №308 をご参照ください)。

そのため、安易に遺産である預貯金を葬儀や法事等のために使うのはかなりリスク(危険性)のある行動だということも記憶されておくといいでしょう。

※ご質問の文中、一部文字化けしているところがありましたが、ご質問の本旨には影響がないと思われますので、文字化け部分は「……」と表記し掲載させていただきました。

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