最近亡くなった叔母の遺産についてです。
叔母は若い頃に結婚しましたが子どもはいませんでした。
ご主人は数年前に亡くなり、その方には以前の結婚でのお子さんが一人いましたが、お子さんが小さいときにも一緒に暮らすことは一度もなく、養子縁組もしていなかったことが分かっています。
ですが、叔母は夫のお墓に入るわけですから、そのお子さんが葬儀と納骨までを執り行いました。
叔母の遺産はたくさんあったことを親族は皆知っています。
時々出入りするそのお子さんに対して叔母は好ましく思っておらず、以前に入院したときにはその方が通帳を見つけないようにと預かったことのある兄弟もいます。
今回、最後の入院ではそのような話にはなっていませんでしたが、入院中のある日、その前妻とのお子さんが、頼まれて全額引き出し譲り受けたと主張しています。
金額は言いません。
そもそも叔母が持っていた多額のお金は、亡くなったご主人とは関係がなく、正しく叔母の兄弟みんなの共同のお金でした。
文書で取り交わしたものはありませんが、いろいろと証明する証拠は国に請求すれば得られるはずのものです。
生前に叔母がその人に譲るいわれも全くないお金ですが、亡くなった人は証言できません。
お尋ねしたいのは、このような相手の主張が通るのかと言うことです。
今現在は叔母名義の解約済みの口座迄を含めて過去に遡って調べてもらっているところです。
【贈与を裏付ける証拠はあるのかがポイント】
今回の質問では、預金を全額引き出したことははっきりとしていますので、引き出した先妻の子の方で、贈与でもらったのだ、ということを証明する必要があります。
質問内容を前提にすると、叔母が先妻の子供に贈与をするような状況ではなさそうです。
贈与の時期、贈与するに至った動機、贈与の遺産全体に占める割合なども考慮して判断されることですが、先妻の子供側としては贈与するという手紙とか贈与証書とかを出してこない限り、叔母から贈与を受けたということの証明は難しいでしょう。
なお、叔母の死亡直前の贈与ということであれば、叔母の判断能力が十分であったのか、という点も確認する必要があるでしょう。
【取り返すには法的手段が必要となるでしょう】
贈与を証明できない限り、預金の引き出し分は、叔母の意思に反した不当な引出であり、叔母には返還請求権がありました。
ただ、叔母は亡くなっておりますので、本件では相続人が返還請求することが可能です。
問題は、先妻の子がその引き出したお金を使ったり、隠したりしないかということです。
そのような恐れがあるのであれば、訴訟などをする前に、先妻の子の預金口座などの財産を処分させないよう凍結させておく必要があります(このような手続きを仮差押えといいます)。
もし贈与でないとしても、相手方はそう簡単にはお金を返還しないでしょうから、早期に弁護士と相談し、訴訟などの法的手続きを依頼するとともに、その前に仮差押えで財産がなくならないようにする必要があります。
いずれにせよ、本件のような場合には、話し合いよりも前に仮差押え、というのが鉄則であるということは覚えておいていいでしょう。