【ご質問詳細】
去年の春に母が亡くなりました。
年金や私達が住んでいた家を売ったお金などが入金された母名義の通帳は、母の実家である本家の親戚が管理してました。
数千万の貯金があった筈なのですが、葬式代や病院代などを、今になって請求されています。
手続きなど私達兄弟が行い、かかった経費は母の口座から出すという事だったのですが、年金のみでそんな貯金は無かったと言い張ります。
すべてが口約束なので、文面で残ってません。
亡くなる前の施設に居た3年間は、脳卒中の後遺症で意思の疎通が出来なかったので、本人が指示を出すとか、引き出したり使ったとは考え難いです。
私達に支払いの義務はあるのでしょうか?
記載内容 葬儀費用
【入院費用及び葬儀費用の支払い義務はある】
お母さんの入院費用については、お母さんが負担するべきものです。
その支払いを親戚の方がしたのであれば、お母さんはその親戚に立替費用返還義務を負います。
お母さんが死亡された後は、相続放棄をしない限り、相続人がその法定相続分に応じて債務負担をしますので、相続人が支払い義務を負います。
次に葬儀費用ですが、葬儀はお母さんの死後に行われる行事であり、喪主の方(通常は長男さん)が負担することになります。
長男の方が、その葬儀で喪主になられているのであれば、喪主の方が負担すべきものです。もし親戚の方が立て替えて支払ったのであれば、喪主の方はその親戚に支払うべき義務があります。
【もし、親戚が預金を引き出していたとすると・・】
お母さんが数千万円の預金を有していたのに、その分がないということであれば、預金口座を管理していた親戚の方が引き出した可能性があります。
もし、親戚の方が引き出して使っているのであれば、お母さんはその親戚の方に対して、不当利得あるいは不法行為に基づいて返還請求や損害賠償請求をすることが可能です。
この請求権は相続されますので、相続人の方は、その請求権があるということで、入院費用立替金返還請求権とを相殺するとして、前項の支払い請求を拒否することができます。
【金融機関への履歴の照会・開示について】
「銀行で調べたところ、脳卒中の後で施設に入った時期に、全額母の口座から引き出されているようですが、詳しい事は教えてもらえませんでした」と質問に記載されてあります。
現在、金融機関が相続人に、被相続人の口座の内容を知らせないということは考えにくいです。
もう一度、銀行に開示するように交渉されるといいでしょう。
その際、銀行から次のような資料を求められますので、予め取り寄せておくといいでしょう。
①相続が開始したことを証明するための資料・・被相続人の除籍謄本
②あなたが相続人であるということを証明するための資料・・あなたの戸籍謄本
③あなたの身分証明書・・免許書または健康保険証
なお、あなたが銀行に開示を求める(聞く必要がある)事項は次の事項です。
①相続開始時(お母さん死亡時点)の残高
②被相続人の口座の入出金状況(取引履歴)
③多額の金銭の引き出しがある場合には、その引き出しに際して提出された書類(払い戻し伝票等の写し)
(これは筆跡により、誰が引き出したかを確認するために必要です)。
【銀行関係の調査が終了した場合はどうするか・・】
銀行での調査が終了した後に、出金の中に使徒不明金がないかどうかを検討しましょう。
使途不明金がある場合にはその出金を誰がしたのかを払い戻し伝票で確認しましょう。
その後、使徒不明金が多額に及ぶのなら、親戚の方からの支払い請求を拒否するだけではなく、その親戚の方が預金を取り込んでいるとして返還請求をすることも可能です。
ただ、返還請求をしたいが、人間関係から見て難しいというような場合には、銀行の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼されることも検討されるといいでしょう。