現在、家庭裁判所で遺産相続について、争うところです。兄弟は3人です。
妹は6年前に、生前贈与で、親に約4,000万円のマンションを買ってもらっていますが、このマンションは遺産相続の金額に含まれるでしょうか?
通常、生前贈与は5年以内に買ってもらったマンションなら、遺産相続の金額の対象に入ってくるようですが、家庭裁判所で争うということで、特別な理由?として、金額の対象に入ってくるものか知りたいです。
【特別受益として相続財産に入ります】
妹が受けた生前贈与は、結婚または独立するためのものだと思われますので「特別受益」にあたると考えられます。
この「特別受益」にあたる生前贈与は、遺産分割の際、相続財産とみなされますので、妹が被相続人に買ってもらったマンションの価格も相続財産に含めて計算します。
この特別受益制度は、相続人間の公平を図るために認められたものであり、贈与の時期に関係なしに認められますので、贈与時期が5年前か6年前かということは問題とはなりません。
【遺産に算入されるマンションの価額】
ただ、遺産に加算されるマンションの価格は、贈与当時の約4000万円ではなく、また、遺産分割したときでもなく、相続開始時(被相続人の死亡時)の価額で算定されるということです。
この点はご注意下さい。
☆ワンポイントアドバイス☆
わかりにくいかもしれませんので、具体例で説明します。
相続人が兄弟3人の前提で相続開始時の相続財産を6,000万円、特別受益のマンションの相続開始時価額を3,000万円とすると、各相続人の相続分は次のとおりです。
特別受益を加算した相続財産:9,000万円 計算式=(相続開始時の相続財産:6,000万円+特別受益:3,000万円)
【各相続人の相続分】
妹の相続分はなし(0円)です。
計算式 9,000万円÷3=3,000万円(各人の取り分)
《次にこの各人取り分から特別受益分を控除します》
3,000万円-3,000万円(特別受益分)=0円 他の兄弟は各人の取り分の3,000万円全額をもらえます。
なお、兄が父と同居されていたとのことですので、兄が親の面倒を見たので遺産を多くもらいたいと主張(これを「特別寄与」の主張といいます)してくることも考えられます。
兄の関与で、父の財産を増加させる或いは減少を食い止めるという具体的な事実がある場合には、お兄さんの寄与分が認められることもあります。
この場合、寄与分として認められた金額は、兄が取得し、その額を差し引いた残額を前提として遺産分けがなされますので、ご注意下さい。