私は長女で、弟、妹の3人兄弟です。
父は13年前にすでに他界しており、今年7月に91歳の母が亡くなりました。
弟夫婦が母の面倒を見ていたので、銀行へ口座を解約しようと行った所、この時に母が亡くなった事を銀行に伝えその場で凍結されてしまったようです。
残金を出すには兄弟の署名捺印、印鑑証明書をと「相続に関する依頼書」を銀行でもらい、その用紙が送られて来ました。
母の残高は約40万程でしたが、母は02年に母の実妹より遺産相続を受けており総額は不明。
叔母の夫(20年前に他界)は商売をしており叔母には子供がおらず、誰かに渡す遺産ならと母とその子供に、と遺言書を書いたようですが、私と弟の喧嘩が下で書き直されてしましました。
母のお金は、通帳、印鑑とも弟夫婦が持っていた様で、03年に弟夫婦の名義で新築を建て、その後、母が軽い認知症となり05年に転倒が下で病院に入院。
退院と同時に要介護度4で医療型介護施設に入所しました。09年11月には脳梗塞で認知症が悪化。
介護度も4→5に変わったと思います。
施設利用費は母の年金で支払っていたとしても、残金が40万程というのは納得がいきません。
仮に、母の葬儀費用で引き出していたとしても、40万に至るまでの母の貯金を弟が無職で障害年金を受けながら、母の年金や相続を受けたお金で弟家族の生活費等に当てられていたとしたら、その分のお金は遺産として取り戻す事は出来ますか?
母の遺言書はありません。
【まず、取引履歴の調査が必要です】
母の預金残高は約40万円程でしたが、母は実妹より02年に遺産相続を受けていたということですので、まず、母の遺産がどのようになったのかを調べる必要があります。
調べる方法としては、母が利用していた金融機関に取引履歴を照会するのがいいでしょう。
まずは、判明している金融機関だけに照会し、その履歴を見て、必要に応じて更に他に可能性のある金融機関に照会を出すといいでしょう。
【被相続人の財産が勝手に消費された場合】
被相続人の生前、その財産が勝手に消費された場合は、被相続人はその消費した者に対して金銭の返還請求をすることができます。
この請求権は被相続人の相続財産に含まれるため、相続人はこの請求権を相続によって取得します。相続人は消費した者に対して自己の持分に応じて返還請求をすることができます。
母は、09年11月には脳梗塞で認知症が悪化し、介護度も4から5に変わったということですので、死亡直前の出金はお母さんの意思に基づかないものと思われます。
弟がこの預金を消費した場合は、たとえ母の同意があってもこの同意は無効なので、弟は母の財産を勝手に消費したことになります。
従って、あなたは自分の持分に応じて弟に対して返還請求をすることができます。
【新築資金がお母さんの預金から出ている場合】
取引履歴から見て、母が意思に基づいて弟の新築費用を援助したと認められる場合には、その援助費用は「特別受益」となり、その援助費用も遺産に加えて、相続人の相続額を計算することになります。
ここで注意しなければならないことは、この場合にあなたが弟に対して返還請求権を取得するわけではないということです。
つまり、弟が多額の特別受益を受け取った場合には具体的相続分がマイナスになるときがあります。
しかし、この場合は弟の具体的相続割合がゼロになるというだけで、弟は不足分を他の相続人に返還しなければならないわけではありません。
【証明が難しい場合があります】
弟が毎月生活費として母の年金や預金を消費していた場合で、それが母の意思に基づかない場合には、あなたは弟に対して自己の持分に応じて返還請求をすることができます。
しかしこれは法律上の問題です。
しかし、その財産が弟家族の生活費などに充てられたということは少しずつ継続的に消費されたといいうことでしょう。
このような場合、裁判になったときに弟が母の財産を使い込んでいたということを証明することはとても困難です。
そのため、遺産として取り戻しができるのは、新築費用に充てたというように、一挙に多額の預金が引き落としされたような場合と考えるのがいいでしょう。