昨年10月に母が亡くなり、現在遺産分割調停中です。姉(三女)は実家の隣に養子義兄と住み母の面倒を見てました。
葬儀の後預金通帳を見せず隠したり破ったり、履歴を改ざんしたりしてました。一度は使い込んだことを認めましたが、後日弁護士をたて、母の同意のもとに引き出したといいだしました。
平成13年、母は転倒した事がきっかけで認知症が出ていました。正常な判断はできなかったと思います。
姉夫婦が使った金額は12年間で2~3000万円はあります。
先日、留守中に入るとこまるからと実家のカギをつけかえたと言われました、母を参ることもできません。
遺産は姉夫婦も平等に分けないといけませんか。。
使ったお金を取り戻すことはできないのでしょうか。
鍵の件は住んでるものが優先すると相手方の弁護士に言われました。残ったお金は3人(4人姉妹)で分けたいと思うのですが法的にどうなんでしょうか。
【不正出金か?特別受益か?】
ご相談いただいたお母さんの預金からの多額の出金が、お母さんに無断(あるいは認知症で判断能力を失っていた状況下)であった場合、お姉さんが不正出金したものとして、お姉さんに対して不当利得の返還請求ないし損害賠償請求をすることが可能と思われます。
正常な判断ができたかどうかは、当時の事情を知る人や、転倒時に通っていた病院のカルテなどから判断する必要があると思いますので、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
他方で、相手方弁護士が主張するとおり、お母さんの同意を得て引き出したと言うことであれば、(使途にもよりますが)お母さんからお姉さんへの生前贈与があったとされる可能性が高いように思います。
その場合、いわゆる特別受益として、お姉さんが本来相続する財産を生前に前渡ししたかのような扱いがなされる可能性があります。
【特別受益を考慮した遺産分割を】
仮にお姉さんの出金が特別受益にあたるとされた場合、相続分に関しては、現存する遺産を平等に分けるのではなく、お姉さんの相続分はすでに前渡しされているかのように扱い、遺産分割をすることになります。
現時点でどの程度の預金が残っているのかは定かではありませんが、もし生前贈与の額が遺産の大半に及ぶ場合であれば、現時点でのお姉さんの相続分は残っておらず、結果として現存する遺産を他の3人の姉妹で分割することになることもありうるでしょう。
【それでもお姉さんの合意が必要】
ただ、仮にお姉さんの相続分が残っていないとした場合でも、お姉さんが相続人であることに変わりはありません。
そのため、他の3人の姉妹で遺産を分けるとした場合でも、お姉さんから遺産分割内容について同意してもらう必要があることにはご注意下さい。
なお、実家の鍵については、基本的に居住者であるお姉さんが立ち入りを認めなければ、たとえ親子(さらには兄弟)であっても、お参りという理由があっても立ち入りはできません。
そのため、鍵を変更されたとしても違法ではありません。