① 四年前に長男に父の遺産分割調停を申し立て和解が成立しました。 (和解条項に流動資産は未解決)
② 昨年から母の遺産分割調停(損害賠償及び不当利得返還)を申し立てましたが、判事の取り下げ要請により、調停を取り下げて、不当利得額等(損害賠償請求を含む)返還請求訴訟をしています。
現訴訟においても、判事が損害賠償請求(①の計算で算出した母の配偶者からの二分の一分割額)は母が分割請求をしなかったので取り下げるよう指示があり、取り下げました。
③ 取り下げた損害賠償額(贈与分)を遺留分減殺請求額として、長男に内容証明を送付しました。
その後、現訴訟中に長男が、父が生前中に支払ったとする所有不動産の価値増加と換金性を高めるための資本的支出領収書を提出しました。
③及び資本的支出額を加算した額(相続人の数で按分)を変更した額の遺留分減殺請求書を長男に送付出来ますか?
なお、遺留分については、調停の申立はしておりません。
遺留分減殺請求額の変更は可能ですか?
【遺留分減殺請求には金額を記載する必要はない】
遺留分減殺請求は金額を記載する必要はありません。
例えば、弁護士が減殺請求書を送付する場合には《遺留分を侵害されていることが明らかであるので、本書面により遺留分減殺請求をする》と記載します。
遺留分減殺請求とは、侵害された遺留分を貰いたいということを表明しなさいというだけの意味です。
だから、遺留分の侵害を知ったが、遺産の内容がわからない場合でも、とりあえず減殺請求は可能です。
【金額を記載した遺留分減殺請求の訂正は可能】
質問の場合は、遺留分減殺請求に金額を記載されたようですが、その後、新たに遺産が判明したというケースのようです
元々、遺留分減殺請求は、金額を記載する必要はないのですから、前の減殺請求に金額を記載していても、その金額に拘束される必要はなく、金額を変更することは可能です。
但し、長男の方から、「前と話が違うではないか」などと言われ、交渉はやりにくくなることはありますが、法律的に増額請求ができないというものではありません。
【相続法改正後も同様です】
平成30年の相続法改正によって、従来の「遺留分減殺請求権」は「遺留分侵害額請求権」と変わりました。請求権の内容が「物を返してください」から「お金で調整してください」というものに変わりました。
しかし、改正後も遺留分侵害額を具体的に示して意思表示をする必要はありません。遺留分を侵害されたことによる侵害額を請求するという意思が表示されればそれで足ります。