今年の5月に亡くなった父の遺産の事で質問させて下さい。
父は、一人暮らししていましたが病気になり、長男の私と暮らす様になりました。
以前父の住んでいた所が地代の件で揉め、700万で和解し、その700万円で父の部屋が無かったので私の家を増築しました。
父は、去年の10月に次男の所で暮らす事になりましたが、次男と暮らし始めてから一ヶ月位したら父は入院することになり、約5ヶ月入院していましたが亡くなりました。
その時に、父の通帳、現金を次男に渡してしまいました。
生前、私は、250万円を父から貰いました。
私が貰った分は親戚付き合い、仏事、父の国民健康保険などにあてていました。
父は年金、二ヶ月で30万円貰っていて、現金300万~400万円、定期貯金、通帳、など合わせて1千300万円位あると思います。
次男は父の遺産を、すべて自分の物だと思って様ですが、私としては納得出来ません。
もし、父が亡くなる前に、父の定期貯金、通帳からお金をすべて引き出してしまっていた場合はどのようになりますか?
いとこが遺言書を預かっている様です。内容は、次男に300万円、残りは長男に だそうです。
その場合の遺産相続は、どのようになりますか?
【遺言書がある場合】
いとこの預かっている遺言書があり、かつその内容があなたの言うとおりであるとすると、父の遺産(死亡時点での財産)は、その遺言書の内容どおり、次男が300万円、残りの遺産は長男であるあなたに相続されます。
従って、父の定期預金や現金が父の遺産であるか否かが問題となります。
【父の定期預金、現金が遺産かどうか】
【生前の通帳、現金の交付】
まず、父が生前に「通帳、現金を次男に渡してしまった」ということですが、次男に与える(贈与)という趣旨で渡したのであれば、その財産は既に生前に父の財産ではなくなっていますので、原則として遺産にはなりません。
従って、次男に対して何等の請求をすることはできません。
(但し、その贈与の結果、あなたが全く遺産をもらいえないということであれば遺留分減殺請求の問題が発生します)
次に、「生前に通帳、現金を次男に渡してしまった」というのが、単に父が次男に預けて、管理してもらっているだけということであれば、当該預金や現金は父のものであり、遺産になります。
後者の場合に、次男が勝手に預金をひき下ろし、現金を使っていたというのなら、父は次男に対して勝手に使った金を返還せよという権利(不法行為による損害賠償あるいは不当利得返還請求)を取得します。
そしてこの請求権は父の遺産になります。
父がいとこに預けたという遺言書によると、次男への300万円以外が長男であるあなたに相続させるということのようですので、あなたとしては父から遺言で取得した損害賠償或いは不当利得請求権に基づいて次男が取り込んだ現金や預金の返還請求をすることができます。
☆ワンポイントアドバイス☆
今回の質問では、父は次男と同居されたこと、現金や通帳を次男に交付したこと、更に次男は父の遺産をすべて自分の物だと思っているということが記載されています。
これらの事情から見ると、次男のところにいた段階で、父は新しい遺言書を作成しているかもしれません。
もし、数通の遺言書がある場合には、最も後に作成された遺言書が効力を持つことになりますのでご注意下さい。
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遺言書がない場合、長男であるあなたは次男と同じ割合で相続権をもつことになります(その割合は、父の配偶者がいるのか、他の兄弟がいるのかにより異なります)。
この場合には、兄弟間の話し合いで遺産分割の話をするということになるでしょうが、話し合いがつかない場合には家庭裁判所で調停をするということになります。
その場合には、あなたが父からもらった700万円(改装費分)及び250万円について、次男が特別受益であり、その分を相続の取り分から控除せよという主張をする可能性がありますので、ご注意下さい。