かなり前に現金を父からマンション購入の頭金として贈与を受けました。勉強不足で税金免除があるの知らず贈与税を支払ってしまい悔んでいます。
兄弟全員、父が亡くなり遺産の中にそれを入れて計算せよと言っています。が、それを強く言う一人は40年近く親の土地に無償で家をたてさせてもらい、しかも新築資金も入手しています。
この場合の私の贈与金額と比較できるような計算方法があったら教えてください。又その居住年数は関係ないのでしょうか。
宜しくお願いします。
【マンションの購入資金や建築資金をもらえば特別受益になる】
あなたがお父さんからもらったマンション購入の頭金は、その該当金銭が生前贈与として特別受益になり、遺産の計算の際、遺産に持ち戻すことになります。
なお、税金を控除した額ではなく、もらった金銭全額が持ち戻しの対象になります。
また、兄弟のうちの一人が、《40年近く親の土地に無償で家を建てさせてもらい、しかも新築資金も入手している》とのことですが、このうち、新築資金が生前贈与になり、遺産に持ち戻すことになります。
【親の土地を無償で使用している場合は特別受益になるか】
次に、親の土地を、自分の敷地として無償で使用している点については、使用貸借権という権利を設定してもらったことが特別受益になる可能性があります。
ただ、お父さんの意思として、このような遺産への持ち戻しを前提にしていない場合(いわゆる《持ち戻し免除》の意思表示がある場合)には、持ち戻しは認められません。
【持ち戻しされる価額】
特別受益としては、使用借権の価額が遺産に持ち戻されます。
使用借権の価額としてはその底地の更地価額の10~30%という程度で評価されることが多いですが、木造家屋の場合には約10%前後になることが多いです。
ただ、特別受益として持ち戻しが認められる場合でも、遺産分割で、その使用借権者が底地を取得する場合には、使用借権額の持ち戻しをせずに、底地を更地価額で評価して取得させるという処理を行っている裁判所もあります。
【使用借権と無償利用の利益との関係】
無償で使用した期間分の賃料相当額を特別受益にするべきではないかという見解もありえます。
しかし、裁判などでは使用借権の設定したことを経済的に評価し、遺産への持ち戻しをしている以上、使用借権者は使用借権の効果として無償使用することができるのであって、それ以上に使用料を支払う必要がないという見解です。
この前提に立てば、使用期間にかかわらず、使用借権者は使用料を一切支払う必要はないということになるでしょう。