姉が実家ではなく姉の勤務地の近くのマンションで父と同居して面倒を見るという約束でした。
居住地・連絡先など知らされことなく、父が亡くなりました。
認知症ではなかったということを強調し、父の遺志で預かっているお金があると言い、何かと名目を作り使っていました。
亡くなって一年近くたっても相続の話はでませんでしたので独自で調査しますと、父は重度の認知症であり、亡くなる1年半前まで同居もせず、施設にも入居させず、実家で独居状態でした。
また1000万近くの使い込みが判明しました。
現在の預貯金残は約200万です。
公正証書遺言の存在も最近判明しましたが姉に有利になっています。
取り戻すことはできますか。
【正しい遺産分けのためにするべきことは2つあります】
まず、姉に有利な内容の遺言を無効にすること。
次に遺産を取り戻すことです。
【重度の認知症の場合、遺言が無効になります】
父が重度の認知症だったとのことですので、遺言の作成時期が認知症になっていた時期と重なるのであれば、遺言が無効だと主張することも可能です。
まずは、遺言の作成時期をご確認されるとよいでしょう。
【預金口座の出金を確認する必要があります】
姉が1000万円を使い込んだということであれば、父は姉に対してその使い込んだ金銭の返還請求権を取得します。これが遺産になります。
つまり、死亡時の預貯金残高200万円+1000万円の返還請求権=1200万円の遺産ということになります(これを相続分に基づき2分の1ずつ分割することになります)。
ただ、本当に姉が使いこんだのか、銀行の出金を誰がしたのか等の証拠を金融機関から取寄せておく必要があります。
カードで出金というケースもよくありますので、その場合には誰がカードを使用できる立場にいたのか、又、出金されたお金が父のためにつかわれていなかったことなど、証拠はできる限り集めておくことも必要です。
【弁護士に早期に相談されるといいでしょう】
遺言を無効にするにも、又、使い込みについても、姉が簡単に認めるとは思われません。
そのため、この種のケースは訴訟になる可能性が極めて高いです。
又、ゆっくりしていると、姉が持っている財産を隠す場合もあります。
そのため、早期に弁護士に相談し、訴訟に備えて必要な証拠集めについてのアドバイスをもらい、又、必要なら現段階で姉の財産を動かさないようにする仮差押という手続を弁護士に依頼するべきでしょう。