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実例Q&A

★遺言執行者は必ず相続人に連絡しなければならない【Q&A №35】 0035

2010年8月17日

 

第3順位法定相続人(兄弟姉妹)3名と受遺者1名で、被相続人は独身なので遺留分の考慮は不要です。

全財産を受遺者に遺贈する旨の「全部的包括遺贈」の公正証書遺言があります。

【遺産目録の法定相続人への通知義務】

受遺者はよいとして、法定相続人への遺産目録の通知は必ず行わなければならない義務ですか?

登記や名義変更等について処理した日付と行為を示した遺贈の完了通知で代用できないでしょうか?

法定相続人の方々の感情を刺激したくありません。

(たか)

 

 

【目録の交付は必ず行わなければならない法律上の義務です】

遺言執行者は、就任後、財産目録を作成し、作成した目録を各相続人に交付する義務があり、この義務は法律で定められています。

この遺産目録交付義務に違反しても直ちに刑事罰があるわけではなく、又、執行が無効になるというようなことはありませんが、遺言執行者の解任事由になることがあります。

【法定相続人がなんらの権利を有しない場合にも・・】

質問のケースでは、法定相続人は兄弟姉妹ですので、遺留分減殺請求ができません。

遺言で全遺産が特定の者に遺贈されても、兄弟はこれに対してなんら対抗措置を講じることができませんし、遺産目録をもらっても、なんら法的な手続きも取ることもできません。

そのため、遺産目録を交付する意味や実益がないというという意見もあるとは思いますが、法律の規定から見る限り、兄弟が法定相続人であった場合には遺産目録の交付が不要との記載はありませんので、やはり交付が必要だということになります。

【交付しないと、相続人の感情を刺激する場合も】

質問では、「法定相続人の方々の感情を刺激したくありません」と記載されています。

しかし、本来なすべき遺産目録交付をしなかった場合、執行後に通知をしたとしても、「法律も守らずに執行した」とかえって相続人の感情を刺激する可能性があります。

又、目録を交付しなかったことが、執行の正当性に疑問を抱かせて、いらぬ疑惑や不信感を募らせる原因ともなることも考えられます。

波風を立てたくないという気持ちはわからなくはないですが、やはり、法律に従い、遺産目録は交付するべきでしょう。

☆ワンポイントアドバイス☆

なお、遺産の目録も交付する際に、法定相続人全員に遺言書の内容を明らかにすることも必要でしょう。

 

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