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実例Q&A

★預貯金の調査・・・金融期間の書類の開示について【Q&A №348】

2014年2月26日


 

銀行に預金取引履歴書を取り寄せてたところ、父が亡くなる前、使途不明金1000万円があることが判明しました。

こで相続人(5名)のうち誰が窓口で預金を引き出したのかを知るために銀行に預金払戻請求書、委任状、本人確認書の提出を書面で請求しました。

銀行に手紙(書面)送付後、1週間経過して銀行の担当者から次のような電話連絡がありました。

その内容は、

・父(死亡前)の預金払戻請求書、委任状については相続人全員の同意がないと提出できない。

・預金取引履歴書は開示書類であるが預金払戻請求書などは開示書類ではない。

などといって、依頼書類を出そうとはしません。

時期が来れば弁護士を通じて銀行に再度依頼交渉することも考えていますがそれ以外に、銀行に対して預金払戻請求書などの依頼書類を提出させる方法があれば教えて下さい。

また、相続人全員からの依頼ではなくて、相続人の一人から依頼請求しても銀行はそれに応じなければいけないと思いますが、どう思われますか。

宜しくお願いします。

記載内容  取引履歴 払戻請求書 預金

(山ちゃん)


【最高裁判例は開示履歴に関するものである】

今回の質問者の方としては、《預金払戻請求書》が誰によって作成されたのか、その筆跡等を確認し、被相続人以外の人が作成したものだという証明をしたかったのでしょう。

質問者の方もご存じでしょうが、被相続人の貯金の履歴照会については、共同相続人全員の同意は不要であり、共同相続人の一人から照会でも、金融機関は開示しなければならないという最高裁判例(平成21年1月22日判決)が出ています(「【相続判例散策】平成21年1月22日 最高裁判例」参照)。

【最高裁判例は《預金払戻請求書の開示》についてはなんら言及していない】

ただ、そこで争われたのは、《取引履歴の開示》であり、《預金払戻請求書》の開示にはなんら触れられていません。

上記判例は、金融機関の処理事項としては「預金の返還だけではなく、振込入金の受入れ、・・・・定期預金の自動継続処理等、委任事務ないし準委任事務の性質を有するものも多く含まれている」とし、金融機関としては「預金の増減とその原因等について正確に把握するとともに、金融機関の事務処理の適正さについて判断するに必要不可欠」な取引履歴を相続人に開示する義務があると述べています。

この趣旨からいえば、金融機関としては、預金の減額の原因となる《預金払戻請求書》についてもそのコピーを開示するべきだと思います。

あなたとしては、この判例の趣旨を説明し、金融機関を説得するしかないでしょう。

【弁護士に依頼して、弁護士会照会を利用するのも一方法】

金融機関が非開示を続けるのであれば、弁護士に依頼して、弁護士会から照会をかけるという制度があります。

弁護士会という公的機関を通じて照会するのですから、回答されるかもしれません。

それでも非開示というのであれば次の手段をとるしかないでしょう。

①金融機関相手に情報開示を求める裁判をする。

②取り込んだと思われる人を相手に不当利得返還訴訟をし、その訴訟の中で裁判所を通じて《預金払戻請求書》の取り寄せをする。

【履歴開示に関する判例の動向】

前記判例後、平成23年に履歴開示についての東京高裁の判例が出ています。

開示に否定的な内容ですが、この点については別途「【相続判例散策】平成23年8月3日 東京高裁」に記事を掲載しますので参考例としてご覧ください。

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