【ご質問のまとめ】
いらない山林の固定資産税を払わないで済むようにする方法はありますか?
【ご質問内容】
親父が出身地の山林の一部の共有者の一人となっています。
親父は十数年前に亡くなっていますが、母親に固定資産税の請求がわずかな金額ですが毎年あります。
なにも所有メリットもないのでこの権利を放棄したいのですが、どのような手続きをとれば良いのかまた仮に弁護士事務所に依頼した場合費用はどれくらいかかるのか教えて下さい。
【所有権の放棄はできない】
私は多くの相続案件を扱ってきましたので、今回の質問と同様のケースで悩んだことがあります。
所有権を放棄できたらいいのですが、そのようなことはできません(ブログ【Q&A №273】もご参照ください)。
所有権放棄をする場合、他の相続人(共有者)の持ち分が広がります。
そのため、放棄の登記をするには他の相続人の同意が必要です。
しかし、放棄したいような不動産は他の所有者ももらいたくない場合が多く、放棄登記に協力できないというのが実情です。
昔と異なり、山林や農地は買い手がほとんどありません。
特に相続人が故郷を出たのち、故郷にある土地が遺産分割の対象になった場合、どの法定相続人も田舎の土地がいらないということで引き取り手がいなくて困るケースがあります。
【解決方法として考えられるのは・・】
他の共有者がいるのであれば、その人に不動産を買ってもらう方法があります。
場合によりば無償(要するに贈与)で譲り受けてもらう場合もあります(譲受人から登記費用も出してくれといわれたケースさえあります)。
他の共有者がいらないというのであれば、地元の人に無償あるいはそれに近い値段で不動産を売却する方法があります。
【弁護士費用について】
法律的には、共有物については共有物分割調停という手続きがあります。
これは共有状態を解消してほしいということを裁判所に求めるものです。
他の共有者を相手に訴訟をしますが、他の共有者が土地を取得する意向を示さないのであれば、結局は《共有物を競売して、その代金が持ち分に応じて分割する》という判決が出ます。
しかし、競売の手続きをするためには90万円から100万円の予納金(競売手続費用)を裁判所に納める必要があります。
次に競売手続きが開始しても、(おそらく)買受申し出はないことがほとんどでしょう。
そのため、このような訴訟を受任する際、値段が決めにくいですが、私なら着手金25~30万円程度でしょうか。
むしろ、私なら、競売されても競落される見込みがないようなら事件を受任しないということになるでしょう。
もし受任するという弁護士がいるのであれば、着手金をできるだけ少なくしてもらい、売却できたら報酬を多額にするという契約で対処されるといいでしょう。