①相続人である兄が仮に相続放棄をした場合、私が生前に所有していたマンションの管理費等(管理組合)は誰が何時まで支払う義務があるのでしょうか?
②マンション室内の私の所持品は兄が撤去する
③電気,ガス,水道料金等の公共料金を兄が支払う必要があるのでしょうか?
④マンション所有権(権利書)は国又は管理組合に移管されるのでしょうか?
今回の質問は、唯一の相続人である兄が相続放棄し、相続人がいなくなったら?というケースです。
【管理費等はいつ誰が支払う義務があるか】
相続人がいない場合には、権利と義務を引き継ぐ人はいません。
そのため、被相続人の所有していたマンションの管理費や電気代などの公共料金は誰が払うかといえば、払う義務のある人はいないという結論になります。
【被相続人に対する債権の回収手続きは相続財産管理人に対してする】
管理費を回収できない管理組合だけではなく、被相続人に対してお金を貸していた人(債権者)などが困るではないかという疑問もありそうです。
このような場合には、債権者などの利害関係人は家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をすることになります。
但し、その選任申立をする場合、約90万円程度の金銭を裁判所に収める必要があります。
【相続財産管理人が選任されると】
相続財産管理人は、被相続人の債務を支払うなどの清算手続きを行い、清算後余った財産があれば、国庫に帰属させます。
あなたの場合、マンション以外に財産がなければ、相続財産管理人がマンションを売却し、管理費・公共料金の未払金などを支払い、余りが出れば、国庫に帰属させることになるでしょう。
【マンションの所有権はどうなるのか】
マンションの所有権は管理組合に行くことはありません。
最終的にはその所有権は国庫に帰属することになります。
しかし、【Q&A141】にも記載したとおり、当然に国に登記が移るのではなく、相続財産管理人が手続きするまで、放置の状態(被相続人の登記のまま)が続きます。
【マンション内の動産について】
マンション内の動産も遺産ですので、兄が勝手に移動その他の処分は出来ず、相続財産管理人がマンションと同様に管理・処分することになります。
【相続人のいない相続財産の処理について】
兄が相続放棄する理由が明らかではありませんが、債務より財産の方が多いのであれば、遺言書で遺産を知人又は公共団体に寄付することも考えてもいいでしょう。