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実例Q&A

子ども名義の借名預金は誰の財産か【Q&A №300】

2013年7月18日

 

 

【質問の要旨】

・子の名義で預金をしていたが、子が死亡した。この預金は誰のものか?

・その手続きはどのようにしたらよいか?

【ご質問内容】
 
親が子供に借名預金していますが、子供死亡(成人)預金の権利は、どこに 有るでしょうか?

また 手続きの仕方はどのように成るのでしょうか?

 

 

(tool)

 

【質問の整理・・・「親」と「子の相続人」の対立と理解】

・親(A)が子(B)の名義を借用して預金をしていた。

・そのBが死亡した。

・B名義の口座について、Aと、Bの相続人であるCとの間で、Cが相続したのか、Aのものか、という紛争が発生した。

と理解して回答します。

【実際はだれの預金かの判別基準】

今回の質問では、次の2点をわけて考える必要があります。

① B名義の預金は誰の財産なのか

② 銀行との手続を誰が行うのか

まず、《①B名義の預金は誰の財産なのか》という問題については、

ⅰ.預金されたお金を誰が支払ったのか。

ⅱ.預金通帳や届出印鑑を誰が保管しているのか。

という点が主な判断基準となります。

預金原資をAが支出しており、しかもその預金通帳等をAが保管しているのであれば、名義がBであっても、それはAの預金と判断される可能性が高いです。

しかし、Aが預金原資を支出しているが、預金通帳や取引印等はBが所持していたのであれば、AがBに金銭を贈与しており、Bの預金とされる可能性が高いでしょう。

【銀行は名義を基準に手続きをする】

《②銀行との手続を誰が行うのか》ですが、銀行としては預金名義人であるBが死亡しているので、その法定相続人であるCの請求があれば支払いに応じます。

Aが預金通帳や印鑑を所持している場合でも、銀行としては、A名義の預金ではないので、Aの払戻し請求に素直には応じないと思われます。

【Cの同意が取れる場合】

Aとしては、Cと交渉して、《B名義の預金がAのものということを了解してもらえる》のなら、銀行に請求手続きをすることになります。

その際、Aが直接支払いを受けるのに必要な手続きを銀行に予め確認し、その指示に応じた書面(その中には、Cの同意の書面も必要)を提出することになります。

もし、銀行がそのような直接名義人以外の人に支払う手続きがないというのであれば、一旦はCに解約手続きをさせ、解約金をCから返還してもらうことになります。

【CがBの遺産だと主張する場合】

Cが、その口座がBの遺産だと主張をするのなら、Aとしては銀行に対して《B名義になっている預金は、実質は自分のものだ》という内容の返還訴訟を起こすしかありません。

B名義の預金がAのものであることを証明でき、銀行に対する勝訴判決を得られれば、強制執行などにより銀行から払い戻しを求めることになります。

ただ、このような訴訟をするにはやはり相続に詳しい弁護士の協力が必要不可欠ですので、是非、法律相談に行かれることをお勧めします。

【Cの引き出し防止策・・仮処分申し立て】

実際はAの預金だったとしても、銀行はあくまで名義を重視します。

そのため、前記のようにCから請求があれば銀行は払い戻しに応じます。

この払い戻しを防止したいのなら、Aとしては裁判所に仮処分申し立てをし、預金の引き出しに応じてはならないと決定を出してもらい、Cの出金を防止されるとよいと思われます。

ただ、この仮処分手続はあくまで預金を凍結させるだけで、この仮処分手続だけでAが預金を回収できるわけではありません。

Aが自分の預金として手続きするには、前記のとおり、Cの同意を得るか、銀行に対し返還訴訟を起こす必要があります。

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