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実例Q&A

後妻による定期預金解約について【Q&A №600】

2018年2月19日

 


【質問の要旨】

口座名義人の委任状があれば定期預金の中途解約はできるのか?

【ご質問内容】

質問①  

定期預金の中途解約についてご相談いたします。  

よろしくお願い致します。概略を記します。  

昨年、父が他界し相続が発生しました。

相続人は4名(後妻+先妻の子3名)です。  

父は6年間ほど要介護度5(寝返りできない、痰の吸引が2時間毎に必要)で介護は後妻さんがしていました。

後妻さんは定期預金(1,500万円)の中途解約を父の了解を得て行ったと言っています。  

銀行に口座名義人確認の方法を尋ねましたらキャッシュカードと暗証番号との説明でした。  

解約伝票の署名は口座名義人(父)の筆跡のようであり、預金の使途を後妻さんに聞いたら適宜使用と答えました。  

同銀行のお客様相談センターに問い合わせたころ支店の対応に任せているとの事でした。  

同銀行他支店に定期預金の中途解約について尋ねたら、口座名義人の委任状があっても解約は認めない、口座名義人が窓口に来れない場合は、何かしら他の方法で確認をとる、又は相続人全員の了承をとるとの事でした。

銀行のダブルスタンダードといえる対応に対しどのように考え行動したらよいのでしょうか。

ご教示お願い致します。

質問②  

相続で話し合いの最中なのですが、相手方が遺留分対象のマンションを売却しています。  

遺産額も決まらないのに相手方弁護士は、価格賠償を主張しています。  

どのような対応を考えたらいいのでしょうか?(マンションの仮差押えは、供託金の用意ができません。)

 
(雪男)

 

 ※敬称略とさせていただきます

 

 

定期預金の解約の件と質問②マンションの売却の件の2件の質問をいただいていますので、2件まとめて回答いたします。

【質問について当該解約時の状況を確認するべき】  

被相続人の定期預金が後妻さんによって無断で解約されたのであれば、後妻の不法行為(ないし不当利得)ということになり、あなたが父の相続人として、後妻に対して引き出された金額の返還請求をすることができます。  

無断であるかどうかの判断資料としては、誰が窓口で手続きをしたのかを確認する必要があると思われます。

【引き出しを勝手にしたかどうかの判断】  

銀行は、口座名義人の委任状があっても解約は認めず、口座名義人が窓口に来られない場合はほかの方法で意思確認するという対応だったようです。  

さて、上記銀行の対応と解約伝票の筆跡からすれば、父が書いた解約伝票を後妻が窓口に持っていき、後妻がキャッシュカードを持参し、又、暗証番号も答えたことから、銀行としては本人の意思を確認できたとして解約したと理解できます。  

銀行の対応に若干、疑問があるようにも思えるものの、父が委任状の意味を理解して署名捺印したのであれば、後妻が父の意思に反して勝手に解約したとは言えませんが、反面、父が6年程、要介護5の状態(身体的な面か、意思能力にも問題があったのかが明らかではありませんが)であれば、場合によれば、委任状を記載していても父には意思能力(判断能力)がなく、解約は不法行為に該当する可能性もあります。  

いずれにせよ、預金の引き出し時点の父の状態をカルテなどで確認する必要があります。

【父の意思能力がない場合】  

もし、父に意思能力がないというのであれば、後妻が勝手に引き出したものと主張できるでしょう。  

ただ、このような場合でも、後妻が解約したお金を父の介護のために使ったことを立証すれば、その分については後妻が取得したものとはいえず、返還を求めることはできないでしょう。

【父の意思で解約していたとしても、後妻が贈与を受けていれば特別受益になる】  

仮に父の意思で解約がなされたことが明らかになったとしても、それを後妻に贈与したのであれば、今度は特別受益の問題になります。  

特別受益だとすれば、1500万円を父の遺産に持ち戻して遺産分割をすることになりますので、あなたが取得する遺産額が増えます。

【質問について売却される前にマンションに登記をする】  

以下は、あなたがすでに遺留分減殺請求をしているとの前提でお答えいたします。  

遺留分減殺請求をした時点で、あなたと相手方とはマンションを共有する関係になります。  

しかし、第三者から見れば、この共有関係は明らかではありません。  

そのため、第三者に対して、あなたが遺留分権者としてマンションの共有持分権を持っていることを主張するためには、あなたが遺留分で所有権を取得したことの登記が必要です。  

この登記があれば、あなたは対外的にもマンションの共有者の一人ということになり、相手方はマンション(の全部)を勝手に売却できなくなります。  

現在、まだ、あなたへの遺留分登記がなされておらず、既に買受人である第三者に対する所有権移転登記が完了しているのであれば、あなたはこの第三者に所有権取得を主張することができません。  

売買契約はしたが、買受人の移転登記前であれば、早急に買受人に登記が移転されないように《仮処分》という手続きをする必要があります。  

既に買受人が移転登記を完了しているのであれば、あなたとしては相手方に遺留分相当額の価格賠償を求めることしかできず、相手方弁護士と交渉するしかないと思われます。

なお、相続法改正によって遺留分に関する規定が改正されました。

あなたが遺留分侵害額請求権を行使してもマンションが共有状態になるわけではなくなりましたのでご注意ください。

細かな変更点については専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

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