【質問の要旨】
未分割の財産を譲る遺言は有効か
【ご質問内容】
父と母が昨年、一昨年と相次いで亡くなったのですが、兄が分割に応じないため、未分割のままとなっています。
兄も病弱のため、いつ不幸になるかわからないのですが、兄が遺言を書こうとしていますが、未分割の分(父母の財産)について兄が遺言を書いた場合、それは有効になるのでしょうか。
また、その場合、法定相続分のみ有効となるのでしょうか。
教えてください。
【お兄さんは既に相続で権利を取得している】
お父さんとお母さんが既に死亡されていますので、お兄さんは、お父さんとお母さんの相続人として、それぞれの遺産について権利を取得しています。
被相続人の死亡により相続が開始し、その時点で相続人に権利が移動するからです。
参考までに言えば、遺産分割協議ができなくとも、金融機関に対して法定相続分に応じた預貯金分の請求が可能ですし、また、協議ができなくとも法定相続分に応じた相続登記もすることができます。
【お兄さんの遺言の有効性】
被相続人であるお父さんと同じく被相続人であるお母さんの遺産分割協議が合意できていなくとも、前項で述べたようにお兄さんに相続を原因として権利が移動していますので、未分割の相続分を遺言で遺贈することは可能です。
なお、お兄さんが相続するのは法定相続分ですので、当然、遺贈の対象となるのはその分だけです。
もし、お兄さんが死亡された場合、遺贈を受けた人もお父さんやお母さんの遺産分割協議に参加し、具体的にどの遺産をどのような形で相続するかを合意することになります。