【質問の要旨】
死因贈与の土地を使用している
【ご質問内容】
平成25年8月母は認知症で意思能力がないということで、家裁の調停により、畑は妹に贈与する契約をしました。
ところが、妹は、その土地を仮登記をして、農業振興地域の畑30ヘクタールの真ん中をコンクリート4メートルと倉庫を改修して我が物顔で、使用しております。
財産管理は、成年後見人が行っていますが、事前に私に相談があった時には、保全管理をお互いにしようということだったのですが、こうしたことは、許されるのですか。
【贈与がないことが証明できれば、調停も贈与も無効】
お母さんに意思能力がないのであれば調停ができませんし、調停が成立したとしても有効な調停ではなく、効力がありません。
そのため、調停調書に贈与(あるいは死因贈与)するような内容が記載されていても、意思能力がなかったのだとして、贈与(死因贈与)の無効を主張すればいいでしょう。
ただ、意思能力がなかったということは証明する必要があります。
お母さんのカルテや介護記録を取り寄せして、証明手段とするといいでしょう。
【死因贈与と生前の使用】
《死因贈与契約した土地を相続人は自分のものとして使用できるか》という質問ですが、前項と関係なくお答えします。
仮に死因贈与があったとしても、その効力は死亡したときから発生するものです。
そのため、死因贈与があるからといって、生前に使用することはできません。
ただ、生前に使用している場合には、お母さんとの間に賃貸借や使用貸借契約が締結されている場合が多く、相手方がこれらを使用する法的根拠として主張してくる場合が多いです。
【成年後見人と財産管理】
お母さんに成年後見人がついた場合、成年後見人はお母さんの財産を誠実に管理する義務を負います。
ただ、それはあくまでお母さんに対してであり、あなたに対してではありません。
あなたと成年後見人との間に《財産保全》についての話があり、現在、後見人が財産管理を十分にしていないということであれば、裁判所にこのような事情を説明する書面を提出し、成年後見人がきっちりと財産管理をしてもらうことを求めていくといいでしょう。
(法的にはあなたにはそのような申し出をする権利や権限はありませんが、財産管理が不十分だという報告書が出てくれば、裁判所としては後見人から事情を聴取する程度のことはすると思います。)