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実例Q&A

母が支出したリフォーム費用と相続【Q&A №437】

2015年3月19日

 

 

およそ3000万円で建築した家のリフォームを検討しています。

持分は、家族4人全員の共有名義です。

持分は、父4、母1、長男2、長女(私)3です。

ただ、父は、平成19年に亡くなりましたが、相続登記はまだしておりません。

おそらく、長女が相続する予定です。(または、長男長女で相続)

リフォームは、増築は行わず、お風呂、トイレ、キッチンのリフォームを約500万円で行う予定です。

このリフォームの費用を、母が全額負担した場合、将来、母からの相続の時に相続税に組み込まれますか?

又は、リフォーム時、贈与税が掛かりますか?

母が、負担した金額分、母の持分を増やす必要があるのでしょうか?

私は、共有名義者の1人が負担するのだから問題無いと思っていたのですが、これは間違いでしょうか?

父からの相続登記はリフォームより前にした方がいいのでしょうか?もちろん、本来なら当然、すでに相続登記していないといけないものなのですが・・

教えてください。

よろしくお願いします。

記載内容  リフォーム 贈与 請求権 特別受益

(いち)

 


【リフォーム代金の負担と相続との関係】

共有している自宅をリフォームする場合、その費用は共有者がその共有持ち分に応じて負担するべきものです。

そのため、その代金をお母さんが一人で負担した場合、他の共有者との関係では次の①か②にいずれかに該当します。

①他の共有者は、お母さんに対して持ち分に応じた負担金を支払う義務を有する。

この権利は、母さんから見て請求権となりますので、お母さんの債権として、その遺産の一部を構成します。

②お母さんは、他の共有者にリフォーム代金の返還を求めないというのであれば、各共有者はその持ち分に応じた額のリフォーム資金の《贈与》を受けたということになります。

この場合には、その贈与分が法定相続人にとっては《特別受益》になります。(特別受益については【コラム】生前贈与を受けていたらご参照)。

【贈与か否かの判断基準】

前項の①か②かは次の基準で判断していいでしょう。

お母さんがリフォーム代金を全額だすが、そのとき、他の共有者に返還を求めないということであり、他の共有者がそれでよいというのであれば、それは贈与です。

【贈与税がかかるかどうか】

お父さんが死亡されているということですので、相続が発生しています。

お父さんの持ち分が10分の4ですので、法定相続であれば、お母さんが10分の2を相続し、長男とあなたが10分の1を相続することになります。

その結果、従前の持ち分と合算して、お母さんは10分の4、長男は10分の3.あなたは10分の4の共有持ち分となります。

この前提でいうと、お母さんが500万円を出した場合、あなたとしてはその10分の4の200万円分のリフォーム資金の贈与を受け、長男さんは150万円の贈与を受けたことになります。

贈与の基礎控除は110万円ですので、あなたとしては90万円に対する贈与税の支払いが必要ですし、長男さんとしては40万円分に対する贈与税の申告が必要です。

【お母さんの持ち分を増やす必要はありません】

この代金支出は、法的にはお母さんからの贈与か、あるいはお母さんの他の共有者に対す請求債権という形に変わりことになりますが、所有権の持ち分にはなんら影響を与えません。

そのため、お母さんの持ち分を増やす必要はありません。

【お父さんの相続登記とも関係がありません】

前項に記載したように、リフォームすることと家の所有権(及びその登記)とは何ら関係がありません。

そのため、相続登記も急いでする必要はありません。

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