さかのぼること7年前の事です。
私の母の実家の土地を売ることになり(当時3人兄弟で合意の上で売却)遺産分割する予定でした。
ところが、売買が成立したその後、実家を守っていた弟が急死。その事を知らされないまま、嫁が売却費を持ち逃げしました。
2014年7月、その嫁が他界したこと知りました。
その事は一通の手紙で弁護士事務所からのものです。
嫁の実子が、嫁の実姉が嫁の遺産を握っているとの事。
私の母からしてみたら実家の売却費を持ち逃げされ連絡すら取れなかった状態。
とても悔しい思いをしていたのに。
2度程弁護士の方へ連絡するも『利害関係』との事で手紙での返答でした。
当時売却費は9千万。
母の為にも明確にしたいです。
そして売却費の一部でも渡してあげたいと想っています。
どうしたら、母の手に渡して上げられるのでしょうか。
【事実関係を次のとおり整理します】
質問の事実関係を以下のとおり整理して、その前提で回答します。
① お母さんの実家の誰か(おそらくはあなたの母方のお祖父さん)が死亡した。
② その方の遺産である土地を売却して、法定相続人であるあなたのお母さんを含む兄弟3人で分割することの合意ができていた。
③ 手続きはお母さんの弟さん(あなたにとっては叔父さん。以下、叔父さんといいます)がすることになり、売買が完了し、叔父さんが代金を受け取った。
④ 叔父さんが代金を分配する前に死亡した後、叔父さんの嫁がその代金を着服したが、その嫁も死亡した。
⑤ お母さんの立場として、分配されるはずであった売却代金を取り戻しできる方法はないか。
【叔父さんに対する請求とその相続の関係】
叔父さんは売却した不動産の代金額を、お母さんと他の兄弟に分配する義務があるのに、その履行をしていません。
そのため、お母さんとしては、叔父さんに分配金の支払い請求が可能です。
ただ、その義務者である叔父さんが死亡していますので、その相続人が相続でその支払債務を引き継ぎます。
ただ、債務は法定相続分に応じて分割されますので、各法定相続人にその持ち分に応じた債務を請求することになります。
例えば、叔父さんに配偶者(嫁)と子供が2人、存在していたとすると、債務は嫁が2分の1、子供たちが各4分の1ずつ負担することになります。
【叔父さんの嫁に対する請求とその相続との関係】
叔父さんの持っていた売買代金をその嫁が着服したということであれば、お母さんはその嫁に対しても分配額相当額を、不法行為を理由として賠償請求することも可能です。
ただ、嫁が死亡していますので、その相続人が法定相続分に応じて債務を引き継ぎます。
結局、嫁に子供たちがおり、相続放棄をしない場合には、お母さんとしては、叔父さんと嫁の子供たちにそれぞれの法定相続額に応じた分配額を請求するしかありません。
【まず、財産があるかどうかを確認するとともに弁護士に相談する】
あなたが連絡したところ、相手方の弁護士から「利害関係(がない)」と言われたということですが、あなたのお母さんは叔父さんの嫁の債権者ですので、あなたのお母さんとしては「利害関係があります」。
現時点では叔父さんもその嫁も死亡しており、結局、叔父さんの子供たちに請求するしかありませんが、叔父さんの子の方は、叔父さんやその嫁の債務を簡単に認めないように思います。
例えば、叔父さんやその嫁からそのような分配の話は一切聞いていないという回答をする可能性も高いです。
そのため、裁判になる可能性も高いことを考慮して、早い段階で弁護士に相談し、細かく事情を説明し、訴訟の勝訴見込みをお聞きになるとともに、子に財産があるのかどうかも確認しておくといいでしょう。
質問では「嫁の実子が、嫁の実姉が嫁の遺産を握っている」と記載されています。
もし、嫁の遺産が第3者の手元にあるというのなら、それが使われないような方法(仮差押)を考える必要があります。
「嫁の実子が、嫁の実姉が嫁の遺産を握っている」のが真実かどうかを早期に確認し、財産がこれらの者の手元にあるなら、早い段階で仮差押をすることも、弁護士と相談されるといいでしょう。