父が4月に亡くなったのですが、居酒屋を経営しており、店が残っていた為と遺産問題で内縁の妻と調停で話し合いをしていた時に店を私に返すという話で進んでいました。
そして家主に話ししに行ったのですが、内縁の妻と仲が良くて家主は内縁の妻に店をさせるたいと言い出して、私には店を貸しませんと言われました。
父の財産だから私に店をさせて欲しいと言うと、どちらに店を貸すにせよ再契約だと言われ、だったら父の保証金を返してくださいとお願いしたのですが、店の権利書は私が持っていますと訳のわからないことを言われてその日は帰りました。
しかし、数日経った頃に内縁の妻に再契約ではなく名義変更を勝手にしていました。
その数日後に家主は老衰で亡くなっていまいました。
内縁は7月から店を勝手に開けて商売をしていました。
このような場合訴えて店を取り返せるでしょうか?
あと店を営業してした分の慰謝料など請求したいです。
【賃借権は相続されます】
お父さんが家主の方から店舗建物を賃借して居酒屋を経営しておられたのであれば、お父さんには賃借権という権利があります。
賃借人であるお父さんが亡くなった場合、賃借権は遺産になり、相続人であるあなたに相続され、あなたが賃借人になります。
但し、もし兄弟など他の共同相続人がいらっしゃる場合には、共同でお店の権利を相続することになりますので、兄弟間で遺産分割協議をまとめる必要があることにご注意下さい。
【内縁の妻には相続する権利がない】
内縁の妻には相続は認められていませんので、賃借権の引継ぎを主張することはできません。
従って、あなたが賃借権を相続で取得したと主張すれば、家主の側はそれを拒否できず、あなたを賃借人として扱うことになります。
【2つの賃貸借契約の存在】
ただ、内縁の妻としては、あなたのお父さんが持っていた賃借権を主張することはできませんが、新たに賃貸人との間で賃貸借契約を締結することは可能です。
この場合、あなたの有する賃借権と、内縁の妻が新たに締結した賃貸借契約に基づく賃借権の2つが存在することになります。
あなたとしては賃借人ですので、賃貸人(の相続人)に店の引渡しを要求することができます。
賃貸人がこれに応じなければ、賃貸人に債務不履行に基づき損害賠償請求をすることになります。
次に賃貸契約に際して差し入れられた保証金(正確にいうとその返還請求権)については、当然、あなたが相続により取得していますので、賃貸借契約が終了した段階であなたが返還を受ける権利があります。
【内縁の妻に対する請求はできないか】
次に、内縁の妻に対しては何ができるかが問題となります。
内縁の妻は、新たな契約により賃借権を取得しました。
しかし、それは店舗を借りる権利を取得しただけです。
内縁の妻としては、あなたのお父さんが築いてきたその店の評判や什器備品、顧客などを引き継いでいます。
このような点からいえば、あなたとしては単なる賃借権だけではなく、営業権を失ったということになりますので、その損害賠償を内縁の妻に対して請求できる可能性があります。
そのため、法律の専門家である弁護士に、事案を詳しく説明され、誰に対していかなる請求が可能かを確認されるといいでしょう。