2人兄弟の長男で妹が一人おります。
父が住まい兼、住居下の階について貸しビル業を営んでおり、現在はその3F部分に私の家族が、4F、5F部分に父母と妹,その娘が住んでおります。
結婚後、私も妹も家を出ましたが、妹は数年で娘をつれて離婚し実家に戻り、それから18年、ずっと実家で生活しています。
私は長男で、いずれは実家に戻る予定でしたが、妹がおり戻れず、しばらく賃借マンションで暮らしていました。
ビルの3Fが空いたのを機にリフォームしその代金1,300万円は義父が支払い、そこに住まわせてもらいました。
妹については18年間、生活費など全般、妹の娘の幼児期から大学生になるまでの費用も、ほとんど義父が払っており、別れた夫から子供の養育費、母子手当てなどで生活には困りません。
現在は娘の授業料だけは自分で支払っています。
現在、ビルの借り手は1Fしかなく、私の代になり、今後も妹の生活費を維持しながらずっと暮らしていけるか家としても不安です。
今後、塗装などビルメンテナンスのまとまった費用は相続の中からしか繰り出せそうもなく、リフォーム代金等が私の特別受益にあたっているのか気になり相談させて頂きました。
1、リフォームにかかった費用は特別受益にあたりますか?
2、妹の生活費自体は特別受益にあたりますか?
どうぞよろしくお願い致します。
※※※ご注意:マンションは「父」の所有であり、リフォーム代金を出したのもその「父」であるという前提で回答しています。途中で「義父」として出てくるのも「父」という意味で理解して回答しています。※※※
【特別受益とは・・】
特別受益とは、生前贈与などがあった場合に、相続人間の公平を図るために、その贈与を相続財産の相続分の前渡しとみなして、遺産に持ち戻して相続分を算定するものです。
ただ、特別受益とされるのは《生計の資本》としての贈与ですので、
①生計に関係があること
②ある程度まとまった金額の贈与であることが必要だとされています。
【リフォーム代金について】
リフォーム代金を父に支払ってもらったということですが、そのリフォームした内装などはそのマンションと一体のものになりますので、特別受益にならないという考え方もできます。
しかし、その部屋があなた方夫婦の専用のものであり、リフォームの内容もあなた方が決め、かつ契約もご主人名義でしたというのであれば、その支払い分1300万円は特別受益になる場合もあります。
【生活費支援と特別受益について】
生活費の支援については、毎月、(遺産全体から見れば)少額の支払いであり、ある程度まとまった金銭ではないとして、特別受益にならない可能性があります。
過去の審判例では、月額10万円程度を継続的にもらっている程度なら特別受益にならないとしたものがあります。
しかし、月額10万円でも、10年間であれば1200万円を超す金額になり、決して無視できない金額になります。
このような場合には、被相続人の生活程度や遺産の総額やもらっていた期間や総額、他の兄弟に対する支援の有無等を総合的に考慮して特別受益になると判断される場合もあるでしょう。
【妹の場合】
今回の質問では、《18年間、生活費など全般、妹の娘の幼児期から大学生になるまでの費用も、ほとんど義父が払っており》ということのようです。
毎月の金額がわからないのではっきりしたことは言えませんが、期間が長いことや毎月の金額が10万円を超す可能性もあるようですので、特別受益になる可能性もあると思います。