姉の土地46坪に姉と兄の2人及び妹家族の妹夫娘の3人計5人が同居する予定で昭和52年11月30日に住宅が新築されました。
工事費は姉が半分妹の夫が半分出しており姉と妹の夫が2分の1づつとする共有名義の登記がされています。
トイレ浴室洗面は共同で台所は別々です。
入居する前の昭和52年12月10日に兄が亡くなり兄が使う予定の部屋を妹家族が無償で使い平成19年4月に姉が老人ホームへ転居した後は姉の部屋も妹家族が無償で使い続け平成24年3月に家が取り壊されるまで住みました。
平成24年7月10日に住宅の建て替えがされて妹の夫の個人名義となっています昭和52年11月より今日に至るまで妹家族は土地を無償で使ってきました。
平成24年12月2日に姉が死亡し遺産相続の話し合いとなりましたが、妹は姉の土地や部屋を無償で借りたのは夫であり遺産相続とは関係が無いといっています。
不動産会社が出した土地査定額は5.400万円土地の路線価は3.490万円です。
兄が使う予定だった部屋は15.73㎡新築
47.000円×410ヶ月=19.270.000円
姉の部屋15.73㎡築30年
31.000円×59ヶ月=1.829.000円
となります。
妹に土地や部屋の無償使用に伴う特別受益が有るのでしょうか
金額はいくらになりますか
又私と妹の遺産相続金額はいくらでしょうか?
亡くなった姉(被相続人)は独身で家族がありません
両親も死亡しています。
私は別居していて相続人は私と妹の2人です
記載内容 無償使用 使用借権 特別受益の判例 遺産に対する比率
【原則は特別受益に当たらないが、例外的に認められる場合もある】
被相続人が相続人に生前贈与していた場合、特別受益として遺産に持ち戻されます。
ただ、被相続人が贈与したのが、相続人ではなく、その配偶者であったとき、その贈与分をその相続人の特別受益として認めるべきか、という点が問題になります。
相続人が、その配偶者を通じて間接的に経済的利益を受けている場合、これをその相続人の特別受益とするかという点については否定的な見解が強いです。
ただ、贈与の額が多額であり、贈与の経過から見て、他の共同相続人からすると特別受益としなければ公平に反すると感じられる場合には特別受益とされることも例外的にあります(「【判例散策】昭和55年5月24日 福島家庭裁判所白河支部」参照)。
【本件では特別受益と認められる可能性があるか】
上記判例では生前贈与の額が多く、かつ贈与が相続人に対するものと同視できるケ―スでした。
この判例では、特別受益の繰り戻し前の遺産に対する贈与額割合(生前贈与額÷繰り戻し前の遺産額)は約60%でした。
本件では妹さんの夫が得たのは土地を無償で使用する権利(使用借権:土地価額の10~30%程度)です。
土地上の建物は2分の1の共有ですので、使用借権を仮に20%とすると、妹さんの夫としては使用借権として土地価額の10%を取得したことになります。
上記計算式に当てはめると、《特別受益割合》は12.5%(使用借権持分10%÷底地価額80%(=更地価額100%-使用借権20%))にしかならず、判例のケースを大きく下回ります。
又、贈与した理由も、妹さんの夫に住宅建築資金の半分をだしてもらうというものであり、妹さんに対する贈与とは見なしがたい点もあります。
従って、妹さんの夫への使用借権の設定は特別受益とはいいがたいということになります。
但し、質問だけでは詳細な事情がわかりませんので、できれば相続に詳しいお近くの弁護士に法律相談で回答してもらうといいでしょう。
【特別受益となった場合の考え方】
上記のとおり、今回のケースでは特別受益にはならない可能性があります。
しかし、仮に特別受益になると仮定した場合にも、賃料相当額が特別受益になるのではありません(この点については、Q&A №109参照)。
今回の質問の場合、建物の名義は共有で持分が2分の1ですので、使用借権として土地価額の10%程度が特別受益になります。
又、部屋を使用していたということならその部屋の使用分も特別受益になる可能性がありますが、その場合でも、その部屋を無償で使う権利の額が特別受益になると理解するといいでしょう。