①非上場の株を親から相続しようとしたら3人相続人がいて、話し合いがまとまりません。
この場合、その株はどうなるのでしょうか?
②その後、遺言書がでてきて、私に株を相続させる、文面で、遺言執行人もわたしでした。
この場合、他の相続人の同意なしで、名義変更できますか?
【相続した遺産の扱いは、遺産の内容により異なる】
被相続人が死亡した場合、遺産が各相続人にどのような形で移動するのかは、遺産の内容により異なります。
預貯金であれば、その法定相続分に応じて直ちに分割され、各相続人が、金融機関に単独で請求することができます(但し、金融機関がすぐに支払いをするわけではありません。⇒相続Q&A №148を参照)。
これに対して、土地の場合には、相続した土地を、法定相続人がその相続分で共有することになります。
【株式の場合には不動産のような扱い‐準共有になる】
株式については、預貯金のような当然に分割されるのではなく、土地と同じように、全部の株式を相続人が相続分に応じて共有するという形になります。
なお、このような共有状態を、不動産であれば共有といいますが、株式の場合には権利ですので、「準」共有(⇒民法第264条参照)と言います。
【株式の権利行使は民法の共有の規定に基づき行う】
準共有状態にある権利である株式について、どのようにして権利行使するかという点が問題になりますが、これについては、共有の場合の権利行使の条文(民法第251条、第252条、第264条、会社法106条を末尾に記載しておりますので、ご参照ください)に基づき決定されます。
株主総会に出席はするには多数決で出席者を決定することが必要です。
株式を売却することは処分に該当しますので、全相続人の同意が必要です。
【遺言書が出てきた場合の扱い】
今回の質問では、遺言書が出てきており、あなたが遺言執行者ということですので、あなたが遺言に基づき単独で権利行使ができることになります。
なお、公正証書遺言であれば、直ちに執行可能ですが、自筆証書遺言であれば家庭裁判所に遺言検認(⇒相続Q&A №121を参照)の手続きをする必要がありますので、この点はご注意ください。
民法
第251条(共有物の変更)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができない。
第252条(共有物の管理)
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
第264条(準共有)
この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りではない。
会社法
第106条(共有者による権利の行使)
株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。
ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りではない。