父の妹(叔母、生涯独身)が現在施設に入所しておるのですが、何かと世話をしてるのが甥である私です。
おばも何かと私に頼ってます。
つい先日叔父夫婦から叔母の事で話をされました。
叔母とは同じ敷地内で暮らしてましたが別世帯。
土地・家の名義は叔母の母親、つまり私の祖母(他界)です。
その土地、家の名義を叔母の面倒で一番世話をかけてる私にする。
叔母の財産である預貯金数千万を私に譲る。と言われました。
叔母には親父と叔父以外に2人の姉がいて曲者です!笑
叔母にも話し一筆書かせてそれから他の叔母たちを説得してくれてるとは言え簡単には終わりそうにありません。
スムーズに終わらせる方法ってありますか?
もし譲り受けた場合、税がかかると聞きました。
どのくらいかかるのでしょうか?
【叔母さんに遺言書を書いてもらうのがベスト】
叔母さんが施設に入っておられるようですが、意思能力があれば、遺言書を書いてもらうのが一番よい方法です。
質問から見ると、叔母さんのお母さん(あなたから見ればお祖母さん)が死亡されており、もし、叔母さんのお父さん(あなたから見ればお祖父さん)も死亡されているのであれば、その叔母さんの推定相続人は、叔母さんの兄弟姉妹の計4名(あなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん2名)になります。
普通、遺言書の内容が相続人にとって不利な場合(遺留分を侵害する場合)には、遺言書の内容をその相続人に有利なように変更する権利(遺留分減殺請求権)があります。
しかし、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分がありませんので、遺言書の内容がどのようなものであっても、叔母さんの兄弟姉妹は遺留分減殺請求をすることができません。
【遺言書作成の際に注意すべき点】
質問では、叔母さんに「一筆書かせて」とあります。
しかし、遺言書には有効になるための要件が決まっていますので、その要件を踏まえてきっちりしたものを作成しておく必要があります。
そのためには次の点にご注意ください。
① 遺言者本人が遺言書を作成したこと及び遺言書が有効である要件を備えていることをはっきりさせるために、公証人の作成する公正証書遺言をお勧めします。
費用が少しかかりますが、将来の紛争予防のために、ぜひ公正証書遺言をされるといいでしょう。
② 次に、遺言書作成当時に、叔母さんに意思能力があったのかどうかを確認するために、検査をしておくといいでしょう。
長谷川式認知スケールという簡単なテストがありますので、遺言書作成前に近くの病院などでそのテストしておき、遺言書を作成する能力があったことをはっきりとさせるといいでしょう。
【相続と贈与との税額の相違】
遺言書ではなく、生前贈与ということで叔母さんから財産をもらうことも考えられますが、一般的には贈与税の税額のほうが多額になります。
相続税の場合ですが、仮に、叔母さんの遺産総額が8000万円とした場合、本件のように相続人が4人もあるケースでは9000万円までが非課税です《相続税の基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の数》。
(但し、税制の改正により平成27年1月1日以降は5400万円までが非課税と変更されます《相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数》。)
一方、贈与税の場合ですが、8000万円を一括で生前贈与した場合には、現在の税制では贈与税は3720万円となります《贈与税額の計算式=(8000万円-110万円)×50%-225万円》。
このように、贈与より相続の方が節税になります。
但し、毎年少額の贈与をする方法や、相続時精算課税という方法もありますので、詳しくは税の専門家である税理士と相談されるといいでしょう。
【未分割のお祖母さん名義の不動産については遺産分割協議が必要】
お祖母さん名義の不動産(土地、家)があるようですが、この不動産については、お祖母さんの相続人は、子供であるあなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん(3名)の計5名になります。
そのため、現在施設に入居している叔母さんの遺産をあなたが全部取得する場合でも、あなたが取得するのは、その叔母さんの共同相続分だけになります。
そのため、お祖母さんの名義の未分割の不動産については、調停等の遺産分割の手続きが必要になりますので、ご注意ください。