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実例Q&A

相続放棄する場合のお墓の延滞管理料【Q&A №572】

2017年7月26日


【質問の要旨】

墓の延滞管理料を払うと相続放棄できないか?

記載内容  相続放棄 お墓 延滞管理料  相続債務

【ご質問内容】

義父に多額の借金があり相続放棄の申請を裁判所に提出中です。

義父名義のお墓があり継承することになりました。

お墓の管理料が1年分支払われておらず、継承者が払うようなのですが、延滞管理料を支払うと債務を支払ったことになり相続放棄ができなくなることはありませんか?

どうしたらよいでしょうか?

(ネコにゃん)


【お墓と相続財産は別です】

相続人は、原則として、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。

しかし、祭祀に関する財産―例えば、系譜(家系図など)、祭具(位牌、仏壇など)、墳墓(墓石、墓碑など)―は、例外になり、祖先の祭祀を主宰する者が承継することになっています(民法897条)。

【相続放棄との関係】

そのため、あなたが相続を放棄した場合、遺産に属する権利義務は引き継ぎませんが、例外としてお墓のような祭祀に関する財産は祭祀を主宰する者が引き継ぐことになります。

本件では、あなたがお墓を承継することになったということですので、あなたが相続放棄をしたとしても、お墓等の祭祀財産については、あなたが承継することになります。

【祭祀財産に関係する債務の支払と相続放棄の関係】

遺産に属する財産、例えば不動産を売却したり、預貯金を引き出して使ったような場合、相続放棄の手続きをしても、その効果はなくなり、普通の相続をしたと同様に扱われます。

問題は、被相続人の債務を支払った場合ですが、遺産の預貯金から引き出して債務を支払ったような場合には相続放棄は認められません。

しかし、相続人自身の財産から債務を支払ったというのであれば、相続放棄は効力を認められます。

又、祭祀の承継に関する財産は通常の遺産とは別扱いですので、それに関する債務―今回のような滞納している管理料―の支払いをしても、それは祭祀に関する財産の範囲内のこととして、相続放棄の効力に影響しないということになります。

結局、お墓の管理料をあなたが自分の財産から払うということであれば、相続放棄の効果は認められ、あなたが被相続人の債務を支払う必要はないことになります。

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