【質問の要旨】
「相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」の「知った時」とは、いつですか?
戸籍謄本類は、それぞれの相続人が各自揃えて提出すべきですか?
【ご質問内容】
「相続の開始を知ったとき(日)」がいつに当たるのかがわかりません。
最初に銀行からの手紙が来ました。
亡くなった叔父の件で重要な案内があると、書かれていました。
詐欺かなにかと思い、銀行へは電話せず、叔父の家族へ問い合わせました。
それはもう済んだことだから放っておいていいと言われました。
しかし、翌日になって直ぐに相続放棄の手続きをしてくれと言われました。
このときに、初めて叔父に借金があり、叔父の家族は全員相続放棄をしていたことを知りました。
1週間後に銀行へ電話をして、叔父の借金の額と、相続人である私に返済して欲しいと言われました。
この場合、叔父の家族が相続放棄をしたと知った日なのか、それとも銀行の手紙が届いた日なのか、どちらになるのでしょうか?
また、戸籍謄本類のことなのですが、同順位の相続人が先に提出していた場合でも、各自が揃えて提出した方がいいのですか?
【相続の開始を知ったときとは、配偶者や子なら被相続人が亡くなったことを知ったとき】
相続放棄については相続開始を知ってから3ケ月以内に、家庭裁判所に放棄の申し出をする必要があります。
ところで相続は、まず、配偶者及びその子が最初に相続人になります。
この場合には、被相続人の死亡を知ったときが相続の開始を知ったときになり、放棄の期間の起算日になります。
参考までに言えば、法律で初日は算入しないことになっていますので、例えば1月1日に相続の開始を知った場合には、1月2日が起算日になり、4月1日が期限になります)。
【配偶者や子以外の場合には、自分が相続人になったことを知った日から3ケ月】
次に、子などの先順位の相続人が相続放棄をした場合には、その相続放棄があったために、あなたが相続人となったことを知った日が起算日になります。
本件では、銀行から「亡くなった叔父の件で重要な案内がある」との内容の手紙が来たということですが、この手紙では、叔父が亡くなったということはわかるものの、あなたが相続人になっていることは読み取れませんので、その手紙が来た日は起算日になりません。
あなたが叔父の家族全員が相続放棄をしたことを知ったときに、あなたが相続人になったことが判明しますので、この日が起算日になります。
【提出通数について】
家庭裁判所に相続放棄の申立をする場合には、あなたと死亡された被相続人との間に相続関係があることを証明する書類(戸籍謄本や除籍謄本)の提出が必要です。
提出通数ですが、違う時期に放棄をする場合には、後で放棄の申し立てをする方は、同じ被相続人の案件だということで関連事件として処理されます。
そのため、今回のように既に他の方が相続放棄をしている場合には、被相続人の除籍謄本は提出されていますので、原則、あなたの戸籍謄本のみを提出すれば足ります。