遺留分請求調停について
昨年の10月に父が他界しました。
母はすでに一昨年に亡くなっているので、相続人は兄(同居していた)と私の二人で、兄にすべての財産を与えるという遺言が残されていました。
遺言の検認後、兄は一向に財産を開示しないので、私は遺留分請求の調停を起こしました。
兄は弁護士をつけており、その弁護士に問い合わせても一向に財産を開示してくれません。
最初の調停の時は、財産の開示は税務署への申告書を見るのが最も適しているがまだ作成中で完成してないと逃げられてしまいました。
財産の開示は申告書が最も適しているのでしょうか?
財産の開示をずっと遅らせている相手方の言うなりになるしかないのでしょうか?
こんな調子で、もし相手が欠席したりしたらどうなってしまうのでしょうか?
調停をスムーズに進めるためのアドバイスをお願いします。
【相続税申告書も有効な手段の一つ】
相続税申告は相続開始後10ヶ月以内に行う必要がありますので、父が亡くなられたのが昨年10月であれば、今年の8月頃には申告期限になり、その段階で申告書が手に入るとは思います。
相続税申告書には不動産や預貯金などの遺産(無価値な動産や形見程度のものは除きますが)は基本的に全て記載されているはずです。
そのため、遺産内容を把握する方法として相続税申告書が一つの有効な手段であることは間違いありません。
【遺言執行者には遺産目録作成交付義務があるが・・】
遺言で全財産を兄に相続させるという内容になっていたようですが、おそらく遺言執行者の定めもあり、兄かその関係者が指定されている可能性が高いと思われます。
法律的にいうと遺言執行者は遺産目録を作成し、相続人に交付する義務がありますが、守らない人も多いです。
【調停の手続内で開示を求めることが必要だが・・】
相続税申告は遺留分減殺の調停とは全く別個の手続きです。
相手方あるいは調停委員に対し、早期解決に必要だと強調して、調停内で情報開示するよう要求する必要があります。
調停における財産開示は相続税申告後にしなければならない理由は全くありませんので、遺産となる預金通帳や保険の内容開示を要求しましょう。
ただ、相手方が拒否すれば打つ手はなしというのが実情でしょう。
【いずれにせよ、別途調査が必要不可欠です】
相続税申告書が開示されても、相手方自身の自己申告によるものですので、それを鵜呑みにすることはできない場合が多いものです。
そのため、相手方に開示を求めることと並行して、あなた自身でもわかる限度で独自に遺産調査を進めることが必要です。
遺産調査は、一般の方では難しいところがありますので、段取りや手続はお近くの弁護士などに相談されるのがよいでしょう。
なお、遺産調査のポイントについては、NO.98 や NO.158 などをご参照ください。