遺留分減殺請求書のフォーマットですが、全文字パソコンで作成(自筆部分は無し)し、自分の名前の部分には三本版(印鑑証明で無い印鑑)で捺印し、内容証明郵便で送付致しました。
内容は、祖母が長男に全て相続させる公正証書遺言を残していましたので、これに対し「私は、今般亡き○○が全ての財産を長男である貴殿に相続させる旨の遺言書を作成していたことを初めて知りました。
しかし、○○の遺言書は、私の遺留分を侵害するものであり、私は遺留分権利者として貴殿に対して、本書をもって遺留分減殺の請求をします。」と書いたものを送りました。
内容は、これで宜しいのでしょうか?
又、長男はこの内容証明を受け取っているにも関わらず、話し合いを逃げています。
進捗が無いので今後、調停、家庭裁判所にもっていくつもりです。
遺留分減殺の時効は1年ですが、金銭債権の10年の時効とは、遺留分減殺請求の意志表示をしてから、10年以内に債権を確定しなければ時効になってしまうということでしょうか?
【遺留分減殺請求について】
遺言書の場合、作成方法が法律で定められており、これに従っていない場合には、遺言書の効力はなくなります。
しかし、遺留分減殺請求については、特に方式は定められていません。
本件相談の場合、パソコンで作成して自書部分はなく、かつ三文判を押したということですが、遺留分減殺通知の方式としては十分であり、なんら問題はありません。
又、遺留分減殺請求をすることもはっきりと記載されていますので、内容としても問題ありません。
さらに内容証明郵便が長男に到達しているようなので、遺留分減殺通知がなされたことの証明としても十分でしょう。
【消滅時効について】
遺留分減殺請求権の消滅時効は、遺留分権者が、遺留分が侵害されていることを知ってから1年です。
また、遺留分減殺請求によって発生した金銭債権は、遺留分減殺請求権を行使した時から、10年の消滅時効にかかりますので注意が必要です。
そして、遺留分減殺請求権を行使してその調停を申し立てた場合には時効が中断します(時効期間がリセットされます)。
ただし調停が不成立に終わった時点から1ヶ月以内に金銭債権について訴えを提起しなければならないのでこの点はご注意ください。
以上は平成30年相続法改正、平成29年債権法改正以前の話です。
平成30年の相続法改正によって規定が若干変わりましたので注意が必要です。遺留分侵害額請求権の消滅時効は、遺留分権者が、相続が開始したこと及び遺留分が侵害されていることを知った時から1年です。
そして、遺留分が侵害されていることを知らなくても、相続が開始した時から10年が経過したときも遺留分侵害額請求権は消滅します。
平成29年の債権法改正によって時効に関する規定が大きく変わりましたので注意が必要です。
遺留分侵害額請求権の行使によって発生した金銭債権は、権利を行使できると知ったときから5年で消滅します。
そして、権利を行使できると知らなかった場合でも権利を行使できるときから10年で消滅します。
また、調停を申し立てた場合には調停が終了するまでは、いわゆる時効のカウントダウンがストップすることになります。