【質問の要旨】
・産院で取り違えられた
・本当の父親より、10億円の財産を遺す旨の遺言書を弁護士に渡したと聞いた
・弁護士による遺言書の改ざんがあったが改ざんの証拠は無い
・被害届だけでも出せないか?
【回答の要旨】
・遺言書の改ざんは私文書偽造罪にあたる
・被害届を出して警察を動かすには、証拠が必要
【ご質問内容】
昔近所のかたの子供と自分が、産院で取り違えられ、相手の父とその後あい、父から、10億円の財産を、お前に、残すから、遺言書は弁護士に渡してあるから、大丈夫だからな;と弁護士を、信用していましたが、見事に裏切られました。
弁護士による遺言書の、改ざん、妹の生年月日の改ざん、いずれにせよ、証拠がないから、刑事告訴も、できません、でも、被害届だけでも、警察に出せませんか。
本当の真犯人は、相手の息子、私の実の兄です。
(チャララ)
※敬称略とさせていただきます。
【遺言書の改ざんは有印私文書偽造罪にあたる】
ご質問によれば、父親が書いた遺言書が弁護士により改ざんされたとのことです。
遺言書の改ざんは、「有印私文書偽造罪」という罪になる行為であり、弁護士が、父の意思によらずに改ざんしたことが本当であれば、大問題です。
また、あなたの実の兄が、上記遺言書の改ざんに加担したのであれば、あなたの兄も同様の罪になるということになります。
【被害届を出して警察を動かすには、証拠が必要】
しかし、弁護士や兄を有印私文書偽造罪に問うためには、証拠が必要です。
証拠がなければ、警察も検察も裁判所も、私文書偽造にあたると認定することができないからです。
たしかに、被害届については、警察はどんな場合でも受理しなければならないとされていますが、警察は、「証拠がきちんとあって、有罪になりうる大事件」を優先するため、現実問題、証拠がない状態で被害届を出そうとしても、警察は被害届を受理してくれないことが多いです。
また、仮に警察が被害届を受け付けてくれたとしても、証拠がなければなかなか捜査をしてくれません。
そのため、「父親が10億円の財産をあなたに残すとの遺言書を書いていたが、それが弁護士(又は兄)により父の意思によらずに改ざんされた」ことを証明する証拠を探し出すことが必要です。
【父親があなたを認知しているのであれば、遺留分を請求できる可能性がある】
また、父親があなたを認知しているのであれば、あなたには最低限の遺産を相続することのできる、「遺留分」という権利があります。
仮に、上記相続関係図のとおり、父親の相続人が、兄、妹、あなたの3人である場合、あなたの遺留分は6分の1です。
そのため、父親の遺産の6分の1相当額を相続できていないのなら、遺留分を請求するとよいでしょう。
ただ、遺留分の請求は、遺留分を侵害されていることを知った時から1年以内に行わなかった場合や、父親が亡くなってから10年経った後には、時効によって消滅してしまいますので、注意が必要です。
(弁護士 岡井理紗)