長男だけ高級車を父に買ってもらいました。
この場合、この高級車は特別受益に該当しますか?
特別受益と遺留分の計算は全く違うみたいですが、例え特別受益に該当しなくても、この高級車は遺留分の計算には含まれますか?
【高級車は特別受益に当たります。原則は1年以内の贈与が遺留分の計算の対象です】
遺留分算定の前提となる財産(以下、基礎財産といいます)は、被相続人の方が死亡したときに持っていた財産です。
しかし、死亡前の1年以内に贈与がされた場合は、基礎財産を計算する際に、この贈与された財産の価額を加算します。
質問のケースは高級車を買ってもらったというものですが、それが死亡前1年以内であればこの基礎財産に含まれます。
【1年以上前に買ってもらった場合】
1年以上前に高級車を買ってもらった場合でも、①遺留分権者に損害を与えることを知っていた場合、②特別受益にあたる場合には、例外的に基礎財産に含まれます。
一つ目の場合について、高級車を買ってもらったのが、死亡時点から1年以上前であっても、遺留分権利者に損害を与えることを長男が知っていた場合は、基礎財産に組入れされます。
例えば、当時の遺産額が1000万円であるのに、高級車が600万円であったというような場合は、損害を与えることを知っていたことになる可能性が高いでしょう。
二つ目の場合について、死亡時点から1年以上も前でも、「特別受益」であれば基礎財産に組み入れされます。
この特別受益は「婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本」として贈与されるような場合に認められるものです。
「生計の資本としての贈与」とは、通常はかなり広い意味で考えられており、生計の基礎として役立つような贈与の一切が含まれるとされています。
そして、高額な贈与であれば特別な事情がない限り、特別受益に該当するといわれています。
今回の質問では、買ってもらった高級車がかなり高額だとすれば、特別受益として基礎財産に組入れて計算される可能性が高いでしょう。
☆ワンポイントアドバイス☆
今回の質問者はかなり法律を知っておられるようです。
ただ、基礎財産の範囲はどこまでかという判断や遺留分の具体的な計算方法等はかなり複雑なところです。
正確な解答が必要であれば、是非、弁護士に相談されることをお勧めします。