7月に母が亡くなりました。
先日、父より電話があり、1週間前に紹介された中国人の方(私より10歳年上)と再婚したと伝えられました。
父の薄情さに腹が立つとともに、母が残してくれた財産を、名前も知らない後妻には一切渡したくありません。
特に以下のことを心配しています。
1)父が住んでいる土地・建物は遺産相続時に私の名義に変更。
しかし、私はそこには住んでおらず、父と後妻が住むことになる
→後妻には父の死後もそこに住むことができる権利がありますか?
2)父名義の生命保険は受取人を母から私の名前に変更
→受け取りの場合、後妻と半分にしなければいけないのでしょうか?
3)母の貴金属・着物
→遺産分割の時には触れていませんが、暗黙の了解で私が引き継ぐ(女物なので)ことになると思っていましたが、法律上は父の持ち物となってしまうのでしょうか?
分割協議書では土地建物は私に、預貯金は父に、それ以外に母名義の財産が出てきたら私に引き継がせるということになっています。
母の所有していた土地・建物(以下、「不動産」といいます)については、分割協議であなたの単独所有になり、登記も完了したという前提でお答えします。
《後妻が不動産に居住し続ける権利は、原則としてありません》
あなたは、父から賃料などは受け取っていないでしょうから、法律的には、あなたが父に対して無償で不動産を貸しているということになります。
この使用貸借の使用借人である父が死亡した場合、使用貸借契約は終了しますので、後妻は不動産を引き続き使用することはできないということなります。
ただ、表題でわざわざ「原則として」と記載したのは、裁判所が後妻の立場に同情するような場合もあるということです。
例えば、子(養子)が父(養父)の死後、父の内縁の妻に対し、父名義の建物を明け渡すよう請求した事案がありましたが、裁判所は内縁の妻に対する明渡請求を、権利の濫用だとして認めませんでした(最高裁判所昭和39年10月13日判決)。
もちろんこのケースでは父と養子とが不仲で離縁直前であったなど、ご相談のケースと違う事情が多々ありますが、明け渡しが認められる場合ばかりではありませんので、ご注意下さい。
《受取人の指定された保険はその受取人が全額を取得します》
受取人があなたに指定されている生命保険(死亡給付金)は、相続財産ではありませんので、他の相続人に遺産分割する必要なく、あなたが全部を取得できます。
但し、保険の契約者は父でしょうから、将来、父が保険金の受取人を後妻に変更する事はできます。
この点はご注意ください。
《遺産分割協議書に記載されていないものは、単独所有ができません》
「分割協議書では土地建物は私に、預貯金は父に、それ以外に母名義の財産が出てきたら私に引き継がせる」という記載があるということですので、母の貴金属や着物などは、「それ以外の財産」としてあなたが取得すると理解していいでしょう。
仮に、貴金属や宝石などの小物が「それ以外の財産」には含まれないと考えられる場合には、遺産分割協議をしない限り、遺産共有状態が続きます。
そのため一刻も早く父と話をして渡してもらい、自分のもの(単独所有)にしておくのがいいでしょう。