【質問の要旨】
祖母が死亡。
相続手続きが完了しないうちに、祖母の相続人である父も死亡。
父が受取人だった祖母の保険金や、祖母の遺産はどうなる?
【ご質問内容】
昨年の9月に祖母が他界しました。
相続人は、私の父と二人の叔母の計3人で、三人の間では相続の比率等も軽く話し合って既に決めてあったと母は聞いております。
しかし、父が祖母の49日の翌々日に倒れてそのまま昨年末に他界してしまいました。
父は祖母の家の処分や、父が受取人になっていた保険のサインもまだ出来てないまま、逝ってしまいました。
長女の叔母は、もう相続には母は関係ないと主張するそうです。
しかも保険はそれぞれの子達が受け取りで一つずつあったらしく、それをそれぞれ受け取り、その他をそれぞれの事情を考慮しての比率で3等分する約束だったらしいのですが、その保険も、もはや父の物ではないと主張するようですし、保険屋さんもサイン前に受取人が死亡となりますと、話が変わってくるからとその書類一式を引き上げて行ってしまったとの事です。
この場合、母は本当に権利がなく、祖母の遺産を受け取れないのでしょうか?保険についても素人ながらそれはないのでは?と思っております。
しかも父には私を含め、3人の娘がおります。
よくその子供には権利が行く様な話しは耳にするのですが、勉強不足で申し訳ございません。
叔母はとても気の強い人で、司法書士さんを頼もうかとの話をしても、そんなのは金持ちが雇うものだと、取り合ってくれない模様です。
申し訳ありませんが、宜しくお願いします。
【保険金は祖母の財産か、それとも父の財産か】
今回、おばの主張は「父が保険金を受け取る前に死亡したのだから、父にはもはや権利がない。祖母の保険金としておばの私が権利者だ」というものだと思われます。
要するに、受取人がサインをして受け取る前に死亡した場合、保険金が誰のものになるのか、という点が問題です。
結論としては、父がいったん取得した以上は、サインする前に死亡したとしても、父の財産であることに変わりはありません。
これを以下、説明していきます。
【父は、祖母の契約した保険の生命保険金を取得する】
祖母は、その子たち(父とおば)を受取人とする生命保険をかけていたのなら、祖母の死亡時点で、父は保険会社に対し、生命保険金を請求する権利を取得します。
その後、父が死亡した場合、父が受け取るはずだった保険金は、その相続人、つまり母とあなた方3人の娘が相続します。
そのため、おばは(父が受取人であった)生命保険金についてなんら権利を持っていません。
【では、なぜ保険会社は書類を引き上げたのか?】
父が死亡したのですから、保険会社としては父が生きていることを前提とした請求手続きを進めることはできません。
そのため「サイン前に受取人が死亡となると、話が変わってくるからとその書類一式を引き上げて行ってしまった」と思われます。
つまり、母と娘3人が父の相続人として改めて請求をすれば、保険会社は拒む理由がないでしょう。
相続関係を証明する戸籍謄本等、保険会社が必要とする書類をつけて、保険会社に請求手続きをされるといいでしょう。
【祖母の遺産もあなた方に権利がある】
次に、祖母の遺産については、結論として母とあなた方3人の娘、そしておば(2名)が相続人になります。
詳しく説明すると、次の通りです。
①まず、祖母が死亡した時点で(子である)おば(2名)と父が相続人になります。
②その後、父が死亡したので、父の代わりに母とあなた方三人の娘が相続人になります。
こうして、母とあなた方三人の娘、そしておばが祖母の相続人になります。
各自の相続分は次の通りです。
おばA・・・3分の1
おばB・・・3分の1
父 ・・・3分の1
そして、父の相続分(3分の1)を母とあなた方3人の娘が相続します。
【おばが怖いというなら・・・】
おばが怖くて話ができないのであれば、司法書士ではなく、弁護士に依頼して、祖母名義の家の遺産分割を含めた、相続分割の交渉してもらうといいでしょう。
その際、念のために祖母の遺産の調査をその弁護士にしてもらうといいでしょう。
相続登記のみの案件であれば司法書士に依頼すれば十分でしょうが、今回のような紛争案件では、弁護士の方が解決経験を有していることが多く、おばとの交渉も含めて依頼ができるからです。