契約者:法人〇〇会社 被保険者:代表取締役社長 受取人:相続人の一人(固有名)の生命保険で、被保険者が亡くなり、生命保険を受け取った場合、これは、みなし相続財産の扱いになるのですか?
それとも、所得税?贈与税?ですか?
【生命保険は、原則として遺産ではない】
遺産相続については民法で定められています。
ただ、民法では生命保険についてはなんらの定めもしていません。
そのため、生命保険が遺産に入るのかどうかが問題になり、訴訟になったことがあります。
その裁判について最高裁判所は《特段の事情がない限り、生命保険は遺産ではない》という判断を示しています(相続Q&A №181ご参照下さい)。
【民法と税法とは異なるからみなし相続財産の問題が発生する】
民法は最初に述べたように、遺産が誰にどのような形で分配されるかということを定めているのに対して、税法は、遺産をもらったものがどのような相続税を納めるのかについて定めています。
民法の相続は相続人間の問題ですが、一方は国が遺産をもらった相続人に課税する問題です。
そのため、税金を取る立場の国としては税収を増やすために、(民法上は)遺産でないものであっても相続税の対象とすることもあれば、遺産ではあるが小規模宅地のように生活上に必要不可欠なものについては特例で評価を大幅に減少させるものもあります。
前者の、民法上は遺産でない財産であるにもかかわらず、相続税法上で遺産として課税されるものを《みなし相続財産》と言います。
死亡生命保険などは金額が大きいことから、民法上は遺産ではないのに、相続税法では相続税の課税対象となります。
結論として、生命保険が《みなし相続財産》かという質問に対しては、そのとおりであるという回答になります。
【相続税と所得税、贈与税の関係】
被相続人の死亡により生命保険を受け取ったのであれば、それは相続税の対象として課税されるだけです。
所得税や贈与税の問題は発生しません。