【質問の要旨】
弟の養子縁組をとめたい
【ご質問内容】
2人姉弟ですが、病身の弟は子供がおらず嫁がニートの実弟を私の弟の養子にしようとしています。
弟は余命わずかで判断能力はありませんが書かせれば文字は書けます。
最近両親が相次いで亡くなり、弟がなくなれば僅かな遺産はわたしが引き継ぐことになります。
しかし養子縁組が認められれば、嫁兄弟に半分渡す事になります。
病身の弟に代わり、両親の葬儀もわたしが行ない、預金も凍結中のためすべて自分で負担しました。
両親存命中もほとんど交流のなかった嫁の行動に納得できず養子縁組不受理にしたいのですが。
ちなみに嫁は当時事実婚していた自分の父親の死ぬ間際に、数十年前離婚した母親と勝手に復縁させ年金を搾取したことがあります。
父親の内縁妻は無理矢理追い出しました。
勝手に養子縁組するなどた易いことのようです。
調停を申し立てて勝ち目はありますか?
申し遅れましたが、両兄弟ともに40代です。
【他人の養子縁組を止める方法はありません】
養子縁組をするかどうかは弟さんが決めることです。
兄弟姉妹であっても他人ですので、弟さんの養子縁組を止める権限はなんらなく、あなたが弟さんの養子縁組を止めることはできません。
いずれにせよ、あなたとしては弟さんの養子縁組に関与する立場にない以上、裁判所や役所に何を申し立てても無関係の人間であるとして聞き入れてもらえないと思います。
【判断能力がない場合、養子縁組は無効となる】
養子縁組をするには、一定の判断能力(意思能力)が必要です。
もし弟さんが判断能力を欠くような場合には、養子縁組の届け出は無効になります。
【養子縁組が相続に及ぼす影響】
お父さんとお母さんが既に死亡されていますので、その遺産は法定相続人とあなたに相続されています。
しかし、弟さんが死亡した場合、その段階で養子がいなければ、弟さんの遺産(その中にはお父さん及びお母さんの遺産も含まれます)の4分の3が弟の配偶者に相続され、残りの4分の1があなたの方に来ます。
もし、弟さんの死亡時点で養子がいれば、弟さんの遺産は配偶者と養子が各2分の1で相続しますので、あなたには弟さんの遺産は来ません。
養子がいることであなたにくる弟さんの遺産についてのあなたの増減分は4分の1であることにご注意ください。
【相続の関係では養子縁組の効力が問題となる】
あなたとしては、弟さんの遺産分割の段階で、
① その養子縁組は弟さんが判断能力を欠いており、無効である。
② 養子は弟さんの遺産を相続できない。
③ 従って、弟さんの遺産は、その配偶者が4分の3を取り、残りの4分の1があなたに相続される。
と主張することも可能です。
【現時点で将来の紛争に備える】
ただ、養子縁組の無効を主張し、弟さんに判断能力がなかったことを証明するのはあなたです。
そのため、現段階から弟さんの医療や判断能力に関する情報は収集されておくといいでしょう。
もちろん、弟さんの医療記録などを生前にあなたが取得することはできませんが、次善の策として、弟さんの健康状態や判断能力に関する状態を現時点で可能な限り聞き取っておくとか、現在の入通院している医療機関や入所通所している介護施設を確認しておくなど、将来の問い合わせ先を把握しておくなどの努力をされるといいでしょう。